競技でのスプリントトレーニングの距離設定
皆さんこんにちは
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「競技でのスプリントトレーニングの距離設定について」というテーマでお届けしたいと思います。
スピードはスポーツをしている方にとっては必要不可欠な要素です。
しかし、ちょっとこの「スピード」に対して誤解をしている方も多いので今日はその話をしたいと思います。
まず短距離と聞いて思い浮かぶのは陸上競技の100mだと思います。
100m走は短い? 長い?
でも・・・・100m・・・・
長くないですか?(^^;
短距離?・・・本当にそうでしょうか?
実はこんなデータがあります。
陸上競技で一世を風靡した、モーリスグリーン選手やパウエル選手が100mを世界記録で走った時の5〜60m時点のいわば途中までのラップタイムと・・・
両者が5〜60mレースを行なった時のタイムとでは5〜60mレースの時のタイムの方が速いそうです。
そりゃ距離が短くなるから当然じゃない?
と思われるかもですが、100mが文字通り「短距離」で、その距離全て全力で加速し続けられるのであれば、5〜60mレースの時と100mレースの途中ラップタイムは変わらないはずなんです。
つまり100mはそのトップスピードを持続させるのには「長すぎる」のです。
100mを走るときは、より短距離(50m〜60m)を走る時よりやや緩やかに加速しレース後半に最大スプリントが来るようにすることが大切です。
球技におけるトップスピード
スプリント・・・・いわゆる全力疾走ですが、よく言われることがあります。
陸上競技以外の競技では、高いトップスピードはそれほど必要ないと・・・・
それよりも短い距離をいかに素早く加速させるかが必要であると・・・・
陸上の短距離選手の最も短距離では100mを全力疾走します。
しかし大抵のスポーツで100mを連続して全力疾走する・・・
そんなシーンはほとんど存在しません(^^;
サッカーのような広い競技場を使う場合でも2~30mダッシュするのがせいぜいだと思います。
野球の塁間にしても外野手の守備にしてもそうです。
インドアで行うバスケやバレー、バトミントン、はたまたテニスと・・・
これらのスポーツではフィールド自体が狭いですから、一瞬のダッシュの連続がプレースタイルであり、100m走で使う「トップスピード」のスピード自体をさらに高める・・
そういう能力向上のトレーニングはそれほど必要はない!ということがよく言われます。
そして、それよりは実際の競技で使われることの多いスプリント距離の距離をダッシュするトレーニングを行うことが大事であるとも言われます。
しかしあまり良くないのは、この1点だけを取り上げて「フィールドスポーツ選手はトップスピードの速さよりも加速が大事」としてしまう点です。
もちろん加速は大切なんですが・・・トップスピードも同様に大切な要素です!
フィールドスポーツ選手にとっても・・・です!
フイールドスポーツ選手のトップスピードというは概ね3〜40m地点で到達することが多いです。
いやいや、俺らのダッシュの距離は10m〜30mなんだから、やっぱ加速重視じゃね?
なんて思われるかもですが・・・
フイールドスポーツ選手のプレーの時のダッシュとは、陸上競技の短距離とは明らかに違います。
なぜなら「助走」があるからです。
つまり試合のプレー中、歩いたり軽く走っていながら、ボールが来たりスペースがあいた刹那にダッシュし始める・・
そんなケースがほとんどです。
陸上競技のスタートのように「完全に停止した状態」からのスタートというのはまずほとんどありません。
するとダッシュする距離は10m〜30mでも実質トップスピードに到達する機会は割と多いのです。
サッカーでもラグビーでもトップスピードにギアが入って走るケースは割とあるものです。
とあるデータでは、高校・大学のサッカーにおけるスプリントの85%近くはすでに動いている状態から開始され、平均のスプリント距離は18m〜20mだったそうです。
そして静的スタートからトップスピードまでは36mで到達します。
これが動きながらのスタートではトップスピードに到達するまでの距離は短いので、十分にトップスピードを高くするトレーニングも積むべきなのです。
野球においても1塁への全力疾走の(1シーズン1300回)のうち、その半数がトップスピードの90%以上のスピードに到達するそうです。
フイールドプレーヤーも、加速に関するトレーニングは
- 完全停止からの0発信
- 少し動きながら加速する中間加速
- トップスピード
と、それぞれを向上させるトレーニングが必要です。
決して、俺のやっているスポーツは超短距離だけ走るスポーツだから他はいらない・・
なんて判断しないで色々なトレーニングに取り組んでもらいたいと思います。
陸上の短距離選手に関してはも同様で、完全停止からの0発信、中間加速、そしてトップスピードをあげる練習が必要なのはいうまでもないです。
そしてさらにトップスピードの持続時間、最後に100mをいかに「スタミナ配分」するかのレースの駆け引きなどやることがたくさんです(^^;
