皆さんこんにちは!
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「ひざ痛と股関節・骨盤の密接な関係」についてというテーマでお届けしたいと思います。
ジムに長いこと勤めていると、日々いろいろなご質問や相談をいただきます。
その中にはもちろん「定番」と言われる質問もたくさん存在します。
ダイエット、筋トレ、スポーツのためのトレーニング・・・・
その内容は様々です。
そしてそんな定番の質問の中には「ここが痛い」とか、「こう動くと痛みが出る」・・・
という「痛み系」のご質問があります。
そして、さらにそういった「痛み系」のご質問の中でも定番なのは「膝が痛い」です(^^;
もうある程度年齢のいった方ですとかなりの頻度でこの「膝が痛いんですけどどうすればいいですか?」というご質問をいただくことが多いです。
実は「膝の痛み」は股関節や骨盤と密接に関係しています。
今日はその点にフォーカスしてお話ししたいと思います
「膝の歪みと股関節の関係」について
立っている時に、膝が歪んでいる・・・・
気になる方も多いのではないでしょうか?
またスポーツをしている方にも膝を痛める方はとても多いです。
まず、スポーツ選手が膝を痛めるケースです>
特に多いケースは「着地」の時に「膝が内に入る」ことです。
この写真を見て頂ければ、確かにこの状態で着地すれば、膝を痛めるだろうな・・
というのは直感的に誰でもわかると思います。
ではこの動きと「股関節」には、どんな関係があるのか?ですが・・・
「大腿骨前捻角」
まず「大腿骨前捻角」というものがあります。
全然聞いたことないんですけど・・・
という方がほとんどだと思いますが(^^;
これは股関節の付け根の角度のことです。
この角度がきついと「膝頭が内側を向いてしまう」という角度です。
つまさきではなく「膝頭」ですので、ちょっとここは念のため!
(このイラストだとつま先だと思ってしまいますよね)
この角度がきついと・・・着地で膝が内に向きますよね?
膝頭が内側を向いているのですから・・
つまり膝が内に向くということは、そこだけにフォーカスして「膝」に目がいってしまうと思います。
しかし実はその付け根である「股関節の歪み」から由来して、膝の動きにでることもあるのです。
実際の研究データ
健常な成人女性16名を対象に、この「大腿骨前捻角」の角度と片足着地時の膝の動きを研究したところ・・・
- 「大腿骨前捻角」が大きいグループ(16.1度±1.7度に対して20.7度±3.3度)は、片足着地動作中における接地から0.7秒以降に膝が内に入る動作が優位に大きくなった
ことを報告しています。
まあ、そうですよね(^^;
そして先ほど「大腿骨前捻角」の時に注意していた「つま先ではない」という点ですが、これも色々と実は関係してきます。
静的な下肢後捻角
「静的な下肢後捻角」というものがあります。
これまた全然聞いたことないんですけど・・・
という方がほとんどだと思います(^^;
これは、じっとしている時に膝頭に対してつま先がどれくらい外を向いているか?の角度だと思ってください。
これも体に対してではなく、あくまで「膝頭」が正面を向いている時につま先がどれくらい外を向いているか?です。
「大腿骨前捻角」が大きいということは膝頭が内に向き、そこをベースにそこから下が外側を向く・・・
つまり完全に「膝がねじれている」状態ということです。
- 競技アスリート69名を対象にした研究で「大腿骨前捻角」が大きく、さらに「静的な下肢後捻角」も大きいという人は膝の内側への入り(この研究では両足着地時)が大きい
という報告がされています。
この場合、膝を中心に「ひねり」が入るのでより膝へのダメージが大きいことが予想されます。
そして・・・ここからが今日の本番なのです。
この「着地時に膝が内に入る動作」には、どこがどれくらいの影響を与えているのか?という割合があるのです。これは
- 股関節のつま先を外や内に向ける動作(股関節の外旋、内旋)が27.5%
- 股関節で足を外にあげる(外転)、閉じる(内転)動作が7.5%
- 「静的な下肢後捻角」が5.9%
- 「大腿骨前捻角」が3.5%
です。
つまり「着地時に膝が内に入る動作」は、じっとしている時の身体の歪み「大腿骨前捻角・静的な下肢後捻角」より股関節周辺の筋肉の動き(股関節の外旋・内旋・外転・内転)の方が大きな影響を与えているのです。
じっとしている時に膝が歪んている方でも股関節周辺の筋肉を鍛え、動作を安定させることによって膝を守れる可能性はとても高いと言えます。
次のページでは実際の研究事例についてご紹介したいと思います。