ハムストリングスの肉離れについて
皆さんこんにちは
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「スプリント中のハムストリングスの肉離れについて」と言うテーマでお届けしたいと思います。
オリンビックや世界陸上の短距離走でよく見られるシーンがあります。
それは、全力疾走中に、ランナーが突然足を抱えて痛みを訴え、レースができなくなるシーン・・・
そう、肉離れです。
もちろんこのようなトップレベルのスピードだけでなく、このブログをご覧になっていただけている方の中でも自身が・・
もしくは、友達が、走っている最中に肉離れを起こしたと言うシュチエーションに出くわしたと言う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今日は、このハムストリングスの肉離れについて色々とお話をしたいと思います。
肉離れの起こる箇所
肉離れ・・・・
これですね、同じ足の筋肉の中でも、太ももの前にある大腿四頭筋に比べるととうる特徴があります。
それは圧倒的に太ももの裏の部分であるハムストリングスが肉離れをする確率が高い事です。
しかも、これは「全力で走っている時」に特に引き起こしやすい特性があります。
どういうことかと言うと、例えば、スクワットやデッドリフト など、めちゃくちゃ高重量でトレーニングしている時にもハムストリングスにも強い負荷がかかります。
また、ハムストリングスのトレーニングに特化した、レッグカールと言うマシントレーニングの種目でも当然強い負荷がかかります。
しかし、これらのトレーニングの最中にハムストリングスが肉離れを起こす確率というのはそれほど高くありません。
では、なぜ走っている時・・・
それも全力疾走で走っている時に肉離れを起こしやすいのか?ですが・・・
なぜ全力疾走で走っている時に肉離れを起こしやすいのか?
これにはスプリント特有の筋肉の働きが関係しています。
ちなみに、ハムストリングの肉離れに関する原因などは、いまだに詳しくは解析がされていないそうです。
なぜかというと、全力疾走中のハムスリングスの実測が非常に難しくほとんど研究テータがないためです。
なので、今日お話しするのは、あくまでバイオメカニクスから考えられている推論ですので、その点はご容赦ください。
まず、スプリント中のハムストリングに大きな張力がかかるのは、足が地面から離れて前方に振り出す際、身体の真下を足が通っているあたり・・・
これを「遊脚中期」と言いますが、ここからそのまま足を前に振り出して「着地」してから「身体が足の上を通り過ぎる」あたり・・
これを「立脚中期」と言いますが、この間でハムストリングスに強い負荷がかかっています。
まあ、足が身体より前にある状態だと思っていただいていいと思います。
なのでハムストリングスの肉離れもこのあたりで起こっているのではないかと推論をされています。
さらに、細かく見ていくと、ハムストリングスが肉離れを起こすのは、二つの局面であると考えられています。
- 一つは、足を振り出して、着地寸前に手前に足を引き寄せる瞬間のあたり
- 一つは、着地してから、足を後方に蹴り出そうと引き戻すその瞬間
です。
そしてなぜこの二つの瞬間が肉離れを起こしやすいのか?です。
まずこの図をご覧ください。
着地寸前では、足は後方へ引き戻しながら着地をします。
この時にハムストリングスは当然、強い力を発揮して収縮しようとします。
しかし、この時に膝関節から下は、急激に伸ばされる方向に力が働きます。
ちなみにここでポイントは
- 「自分で伸ばそう」
とするのではなく
- 「前方に振り出した足が後方に蹴ろうと急激にUターンしたことによって、ひざ下が前方に勢いよく振り出される」
という表現が正解です。
そう、足を後方に引き寄せようとしているのに、ひざ下は伸びるように働く・・・
え?収縮するの? それとも伸びるの? って思っちゃいますよね(^^;
ハムストリングスから見たら、自身が強く収縮しようと働けば働くほど引き延ばされるというジレンマに陥るわけです。
収縮しようとしているのに伸ばされる・・・・
これを筋トレの世界ではエキセントリックと言って、筋肉に最強に負荷がかかる状態です。
この時に、その強い負荷に負けて損傷を引き起こしている可能性が高いのです。
んー・・・・怖い(TT)