どのパフォーマンスに特に影響があったのか?
まず、皆さんが気になるところでもある、筋力から見て見ましょう。
筋力は、膝関節の伸展力や屈曲力、ベンチプレス やレッグプレスの最大筋力などが挙げられています。
42の研究数から、優位な低下あり、変化なし、優位な向上ありの三つに分類すると、以下の表のような結果になったそうです。

やはり、静的なストレッチはウォーミングアップとして、トレーニング前に実施してしまうと、比較的マイナスの影響が多いことがこの表からも伺えます。
次にジャンプ力です。
ジャンプ力は、その場で腕で勢いをつけてのジャンプや、箱から飛び降りて着地してからすぐにジャンプする能力などの能力を比較しています。
これは20の研究例があり、やはり上記と同じように分類したところこのようになったそうです。

んー、ジャンプ力もやはり低下を示す研究が多いことがわかります。
最後にアジリティ、スプリント能力についてです。
これは16の研究をそれぞれ分けたそうです。
するとこのようになりました。

これは割と、低下の度合いが低いことがわかります。
優位な低下と向上があまり差がなく、変化なしが最も多い結果となっています。
このことから、筋トレやジャンプのような、パワーや力を出す場面では、やはり準備体操として静的ストレッチ(スタティックストレッチ)は取り入れないことがいいことがわかります。
スプリントに関してもプラスのメリットとマイナスのデメリットが絡み合っているので、ちょっとお勧めはできないです。
「じゃあ、この二つのストレッチを組み合わせたらどうなるの?」
長年、スポーツ前に筋肉をじっとしながら引き延ばすスタティックストレッチを習慣としてきた人の中には、それでもストレッチをしないと不安でしょうがないという方も多いでしょう。
次の二つのグラフをご覧ください。

これは10mスフリントと20mスブリントのタイムのグラフです。
左から、SSと書いてあるのは、スタティックストレッチだけをやったグループです。
DSと書いてあるのは、ダイナミックストレッチだけをやったグループとなります。
そして次がポイントですが、CSDと書いてあるグラフは、スタティックストレッチをやった後にダイナミックストレッチを行った時のグラフです。
そしてその隣のCDSとは、ダイナミックストレッチを行った後にスタティックストレッチをしたグラフです。
スプリントタイムのグラフのため、棒グラフが上に行くとタイムがプラス・・・
つまり、遅くなること意味します。
棒グラフが下に行くほどマイナスとなり、タイムが速くなったことを意味します。
はい、結果を見れば一目瞭然なのですが、
- ダイナミックストレッチ「だけ」を行った場合が最もタイムが縮んでいる
のがわかります。
次に、スタティックストレッチをしたあとにダイナミックストレッチをしたグループが速く、その次にダイナミックストレッチをしたあとにスタティックストレッチをしたグループの順になります。
スタティックストレッチだけをしたグループはタイムが速くなるどころか遅くなっていることもわかりますね(^^)
ちなみに、なんでスタティックストレッチをしたあとにダイナミックストレッチをした方が、逆の順番で行なった場合よりタイムがいいのか?です。
これは先ほどの「筋温」に関わる部分ですが、スプリント直前にダイナミックストレッチをしている方が、簡単にいうと「体が温まっている」からです。
スタティックストレッチを後に持ってくると、どんどん身体は冷めていってしまいます。
それがマイナスの効果をもたらすのです。
ちなみにこの組み合わせですが、スタティックストレッチの時間を長くすればするほど、ダイナミックストレッチを行った場合のプラスの効果をどんどん打ち消していってしまうそうです。
なので、どうしても組み合わせたかったら、スタティックストレッチを行った後にダイナミックストレッチを行うという順番で行うことをお勧めいたします。
また、その際、スタティックストレッチの時間は30秒以内に止めるということがとても大切です。
ジャンプ力にどのような影響があったのか?
こちらのグラフをご覧ください。

まず、垂直跳びに関してですが、やはりというか、静的ストレッチ(スタティックストレッチ)をした場合は、ほとんど影響を及ぼしていません。(一番左のグラフがあるのかどうかよくわからないくらい低いグラフ)
(グラフでいうSSがスタティックストレッチのみを行ったグループになっています。)
それに対して、中央の動的ストレッチ「だけ」を行ったグループは、優位にジャンプ力が上がっています。
(グラフでいうDSがダイナミックストレッチのみを行ったグループになっています。)
そして、組み合わせた場合は、ダイナミックストレッチだけをやった時よりは低く、スタティックストレッチのみを行ったグループよりは高い結果となっています。
この辺は、まあ、10mスプリントと20mスブリントの結果を見れば、「まあ、同じようになるよね」と思われる方も多いと思います。
Vシット柔軟性テスト
ポイントは次です。
Vシット柔軟性テストです。
これは、長座で座り、足を伸ばした状態から、両足を開いてもらいます。
この姿勢から、両手を合わせて前方に手を伸ばして、指先がどこまで遠くに到達するのか?という、柔軟性を測るテストです。
いやいや、柔軟性は流石にじっと筋肉を伸ばして行ったストレッチの方が柔軟性は高まるでしょう!と思っている方も多いかもしれません。
しかし、もう一度グラフを見てみましょう!
なんと、柔軟性のテストでも、結果は同じような結果が出るのです!
もう、うちのクラブのヨガの先生たちにどういう顔してあったらいいかわからなくなります(^^;
これは繰り返して言いますが、やはり筋肉の温度が関係していると思われます。
じっとしたストレッチでは筋肉の温度が高まらないので、こういうストレッチをアップで行ってもなかなか筋肉が伸びてくれないのです。
それよりは身体を温めるアップをしてからの方が筋肉が伸びやすいということが言えます。
ちなみに誤解しないよう一点申し上げると、筋肉の温度が十分に高い状態(トレーニング後、入浴後)に、静的ストレッチを行うのはとても有効だと僕は思っています。
その状態でさらにいつもより筋肉を伸ばして柔軟性を向上させたいというシーンではスタティックストレッチに分があると思います。
ダイナミックストレッチでは関節の可動域を「より伸ばす」にはちょっと筋肉が伸びている時間が短いように思うからです。
なので、最近流行のホットスタジオでのヨガなどは、柔軟性を高めるためにはとても有効だと思います。
(決して脂肪が燃えるとはいいませんが・・・)
パワーを発揮するシーンでのアップにはスタティックストレッチはあまり行わない・・・
これはもはや基本です。
さらに、柔軟性を求められる時もできれば身体を温めることにまず注意して、その上でスタティックストレッチを実施した方が良いでしょう。
色々書きましたが、よろしければご参考にしてください(^^)
ではでは!

