栄養から見た疲労
皆さんこんにちは
パーソナルトレーナーの野上です
今日はまず「栄養から見た疲労」というテーマでお届けしたいと思います。
よく、昔から言われることがあります。
「疲れたら、甘いものを食べろ」と・・・(^^)
これは、人間の脳が「糖」を栄養としているので、その栄養を補充させるために昔から言われていることです。
しかし「糖」を栄養としているのは「脳」だけではありません。
グリコーゲン
「筋肉」も基本的には「糖」を主にエネルギーとして動いております。
筋肉では、糖は「グリコーゲン」というものに変わって貯蔵され、エネルギーとして使われています。
この「疲労とグリコーゲン」に関する研究はとても古くから行われていて、1960年代から多くの研究者によって研究されてきました。
筋肉の中のグリコーゲンが筋トレなどで使用され枯渇すると、パワー出力の維持が困難となります。
そこで「グリコーゲンローディング」という、糖を運動や大事な試合前に多くとって筋肉の中のグリコーゲンを多く貯蔵して試合にのぞむという食事法も生まれました。
また、筋肉内のグリコーゲンの回復を早める食事法は運動直後から24時間後までの摂取を提案されるようになりました。
そして先ほど「脳のエネルギーは糖」と言いましたが、動物実験によると「長時間の運動」が脳グリコーゲンの枯渇を生み、脳のグリコーゲンの枯渇が脳が感じる疲労の原因である可能性もあるということが示唆され始めています。
脳が感じる疲労
この脳が感じる疲労を「中枢性疲労」と言います。
この中枢性疲労を招く原因として、今二つの原因が考えられているようです、
一つは、BCAA、トリプトファン、セロトニンという物質が関係しています。
BCAAは、よくサプリの飲料として最近見かけますが、簡単に言えばアミノ酸のことです。
そしてトリプトファンも、アミノ酸の一種です。
アミノ酸とは、たんぱく質が分解されていって細かくなったものだと思ってください。
セロトニンとは、精神を安定させる働きがあり、人間にとってかなり大事ものです。
運動により血中のBCAAが少なくなると、遊離トリプトファンの比率が高くなります。
血の中にトリプトファンが多くなると思っていただければOKです。
するとこのトリブトファンは脳でセロトニンを多く作ります。
セロトニンが多く作られると・・・精神を安定させてしまうので・・・
「これ以上運動したくない」という、脳がお休みモードになってしまうんです(^^;
これも一種の「脳の疲労」で運動の継続が困難になるものなのです。
もう一つの中枢性疲労の原因はドーパミンの不足が原因とされるものです。
もう「なんですか? それは?」という感じだと思いますが(^^;
ドーパミンとは、
- 運動調節、
- ホルモン調節、
- 快感情、
- 意欲
に関わる脳内の物質です。
これが放出されると「快楽の状態」と感じやすくなります。
そして脳内のドーパミンがたくさんになると、運動継続がしやすくなるのです。
(運動が快楽と感じており、特に長距離選手は往々にこの状態になる)
しかし、運動を継続していくとこのドーパミンも低下して「脳が疲労を感じる」となるわけです(^^;
この二つの説に対しての対処法は、それぞれ異なります。
BCAAやトリプトファンの低下が原因であれば、運動中にBCAAの摂取と糖質を補給すると遊離脂肪酸が少なくなりトリプトファンは脳に取り込まれなくなります。
(遊離トリブトファンは、遊離脂肪酸とくっついて脳でセロトニンを発生させる)
ドーパミン系が原因の中枢性疲労には、アミノ酸の「チロシン」を摂取することが対策として有効と考えられています。
現在はドーパミン系の原因の方が説として有力視されていますが、まだ未確定の部分も多いです。
どちらにしろ運動の疲労対策としては「糖質の補給」と「BCAAやチロシン」のようアミノ酸りの補充が大切になってきます。
結果的に「疲れている時には甘いものを食べよう」というところに帰り着きますね(^^;
先人たちの知恵はすごいです!
次のページではこの疲労への対処法にサプリメントを飲む方も多いと思いますが、そのサプリメントの摂取についていろいろとお話ししたいと思います。