「軸が動かす筋肉」について
身体の動作というのは、身体を「固定」しているだけではもちろん成り立つわけがありません。
身体は「固定するところ」と「動かすところ」が同時に協調しながら動作を行うものです。
肩甲骨の役割
まず、体軸を中心に動かす筋肉の筆頭は「肩甲骨周り」の筋肉です。
なぜ「肩甲骨周り」というざっくりな表現を使っているかというと、肩甲骨周辺は小さい筋肉がたくさん付いていて、どれか一つの筋肉が単独で稼働して肩甲骨を動かすなんてことはまずないからです。
次に、肩甲骨がどのように動くかです。
なかなか、皆さん肩甲骨を動かすということは、普段の生活の中で意識することはほとんどないと思います。
中には「えっ?肩甲骨って意識して動くの?」とすら思っている方もいらっしゃるかもしれません。
肩甲骨は「6方向」に動きます。
ちゃんと「意識して」動きます!(^^)
まず皆さん「肩をすくめる」ことできますよね?
この時に肩甲骨は上に上がります。
(肩甲骨の挙上)
そこから肩を元に戻す時に肩甲骨は下に下がる動きをします。
(肩甲骨の下制)
次に前へならえのポーズで両腕を前に伸ばした状態から、背中を「猫背」になるようにしてください。
この時に肩甲骨は「開き」ます。
(肩甲骨の外転)
つぎにその体勢から今度は肩甲骨同士がくっつくように腕を引きます。
この時に肘を曲げて「両肘が身体の後ろでぶつかる」ように両肘を引いてください。
肩甲骨と肩甲骨の間に「シワ」がよっていると思います。
これは肩甲骨同士か「閉じている」ような状態です
(肩甲骨の内転)
最後に両腕を肩の高さで力こぶを出すようなポーズをとってみてください。
そこから両腕をバンザイするように斜めうえに伸ばします。
この時に肩甲骨は斜め上方に回転しながら上がっていきます。
(肩甲骨の上方回旋)
そこから元に戻す時に肩甲骨は斜め下に回転しながら下がってきます。
(肩甲骨の下方回旋)
肩甲骨の動きはこの6方向の動きが基本です。
そして走っている時の肩甲骨の重要な動きは「肩甲骨の内転」です。
肩甲骨は肋骨のうえに「貝殻」のように乗っかっていると思ってください。
その貝殻が、あばら骨の背中側を「すべっている」とイメージしていただくとわかりやすいと思います。
肩甲骨と肘は、走っている時は縦に振るというよりは、背中の後ろの方に少し「引きながら」動きます。
なぜなら、走っている時の腕と肩と肩甲骨の3つのユニットの支点がなんと「胸」にあるからです。
「胸鎖関節」と言いますが、ここを支点に円のように、腕・肩・肩甲骨の3つのユニットは後方に縁の軌道を描いて動くのが本来の自然な動きです。
そしてこの時に「軸」となるのが「背骨」になります。
この軸周りを固定させる筋肉が弱く、体幹が歪んだ走りをしていると、走る時にこの軸がグニャグニャとしてしまいます。
そうすると、肩甲骨の自然な内転の動きも阻害されてしまうというわけです。
まさに軸がしっかりとしていることによって、スムーズに動かせる筋肉と言えます。
肩甲骨周りがスムーズに動くと、ランの前への推進力も力強いものになります。
普段から走っている方は、この「軸」と「軸が動かす筋肉」の動きをイメージして走ると効率が上がっていきます!