皆さんこんにちは
パーソナルトレーナーの野上です
今日はスポーツにおけるトレーニングの順番についてご紹介したいと思います。
スピード・、筋力・瞬発力トレーニングの1日の中での順番の基本
スピードにはスピードアップ用トレーニング、筋力には筋力アップ用トレーニング、瞬発力には瞬発力アップ用のトレーニングがそれぞれあります。
今回はその順番の話しです。
これらを一日で行ないたい場合は、それらのトレーニングを行なう「順番」というのは、ある程度決まっています。
ずばりどういう順番かというと、
- アジリテイ
- スピード
- 瞬発力
- 筋力
と言う順番がセオリーです。
筋トレと同じ日にアジリティートレーニングやジャンプ系のトレーニングを行うのであれば、それは「ウォーミングアップ」として取り入れていくことが一般的です。
アジリテイトレーニングの代表的ものとしては、ラダー、ミニハードル、ミニコーンを使ったトレーニングが代表的です。
これらを使って瞬間的に動くようなトレーニングは、全体トレーニングの最初に持ってくるのが基本です。
次にトップスピード系のトレーニングを持ってきます
そしてその次に瞬発力を鍛えるジャンプ系のトレーニングの代表である「プライオメトリックトレーニング」を各種取り入れていきます。
そこからスポーツ用の技術トレーニングに入っていき、最後に筋トレというのが最もポピュラーな順番となります。
なぜその順番かと言うと、これ以外の順番で行なってしまったら「疲れてしまってその能力向上を狙えるレベルのトレーニングにならない」からです。
例えば100Kgのスクワットをガンガン行なった後「いつも以上に速く」走れますでしょうか?
無理ですよね(^^;
スピードアップのトレーニングは「いかにいままでより速いスピードで各部を動かす事が出来るか?」を目指すトレーニングです。
疲れちゃっていたらそんなスピードがそもそもでるはずありません。
なのでもっともフレッシュな万全な状態(アップが済んでピークパフォーマンスが出せる状態)で望む事が大切なんです。
いつも以上のスピードとは下り坂を走るようなトレーニングが代表です(^^)
そしてこれを何本か行なっても、ジャンプ力が著しく低下するということはあまりありません。
だって「スピードは速いものの、筋肉に対する負荷の重さは軽い」トレーニングなのですから・・・
しかし筋トレのような筋肉に対する負荷が重いトレーニングをしてしまうとジャンプも出来なくなってしまいます。
なので筋トレの前にジャンプ系なのです!
そしてこの場合「ダッシュ」というのは筋肉に負荷がかかるトレーニングなので、筋トレの部類に含む判断をいたしました!
結果プライオメトリックトレーニング→ダッシュの順番をお勧めしたのです。
まあ、ヘビーウェイトのスクワット程の負荷ではないですが、それでも自体重を0からある一定スピード迄加速させる為には相応の負荷が足腰にかかります。
瞬発力トレーニングをさらに2つに分けるとどういう順番になるのか?
補足ですが、プライオメトリックトレーニングにも当然強度の高い物とそうでない物があります。
低強度のものであれば、「ウォーミングアップとして」全てのトレーニングの前段階で行なうことはなんの問題もありません!
もし全てを1日で行なうとしたら、
- アジリテイトレーニング
- 低強度プライオメトリックトレーニング
- スピードトレーニング
- 高強度プライオメトリックトレーニング
- 筋力
の順番を僕はお勧めいたします。
もし一日で全て行なっている方がいらっしゃいましたらご参考にして下さい(^^)
もう一つ注意点ですが、全てを「満遍なく」行なうトレーニングもあまりお勧めいたしません。
出来るだけ「伸ばす能力を決めて、その能力向上を目指す期間はそのトレーニングを多く行なう」ようにして、年間トレーニングの中で内容に(計画的かつ効率的な)メリハリを持たせた方が身体能力は向上します!
パネ(瞬発力)を鍛えるその他のトレーニングとその順番
「バネ」を鍛えるトレーニングは、ジャンプ系のトレーニングばかりが全てではありません。
もちろん、バネのように飛び跳ねるジャンプ系のトレーニングは有効ですが、もう一つ有効なトレーニングがあります。
私たちトレーナーは「爆発的エクササイズ」と呼んでいて「ハングクリーン」を代表とした「ウェイトリフティング系」のエクササイズがそれです。
オリンビックなどで行われるいわゆる「重量あげ」です(^^)
バーベルを床に置いた状態から一気に全身を使って胸まで担ぎ、その後、一気に頭上にバーベルを押し上げる「クリーン&ジャーク」
もしくは、床から「一気」に頭上まで持ち上げる「スナッチ」
・・・・は、一般の方にはちょっと難しく危険もはらむので、あまりお勧めではないのですが(^^;
皆さんには、膝のあたりにバーベルを持ち上げた状態から、胸まで担ぐところまでを繰り返す「ハングクリーン」がオススメとなります。
なぜこのエククサイズがオススメかというと、下半身の「バネ」に必要不可欠であるトリプルエクステンション・・つまり
- 股関節の伸展
- 膝関節の伸展
- 足首の伸展
により、アスリートのパワー出力を増強させるエクササイズだからです。
一般的に競技中の「素早いバネを使った動作」というのは、0.3秒以内に起こります。
バーベルを下半身のバネを使って一気に胸のところまで爆発的にあげる「ハングクリーン」は、まさに1回の動作自体は0.3秒以内で行われるため、この「バネの力を養う」トレーニングとしてはビッタリなんです。
また、幾つかの研究で、
- 身体のバネの力は、ジャンプ系トレーニング(プライオメトリックトレーニング)を単独で実施していくより、爆発的エクササイズを含めた、複数のトレーニングを組み合わせたケースの方が、パワーとスピードを必要とする幅広い競技パフォーマンスにより良い結果がもたらされている
ことが示唆されています。トレーニングの組み合わせの順番としては、クリーンのような爆発的エクササイズはスクワット、ベンチブレスのような「筋トレ」の「前」に並べていきます。
上記でいう「高強度プライオメトリックトレーニング」のような位置づけだと思っていただければ良いと思います。
トレーニングの順番の例外
皆さんこんなシーンを見たことはないでしょうか?
野球の試合で、ネクストバッターサークルで準備をしているバッターが、バットに重りをつけて素振りをしているシーン・・・・・
これは、重いものを持って筋肉を動かした後、一時的に筋活動の増強効果というものが出るんです。(PAPと言います)
これを行うと「一時的にバットが軽く感じる」のです(^^)
これと同じように、
- マックスの65%、80%、93%の重さで、スクワットを行った後のジャンプトレーニングをしたらどうなるのか?を研究した事例によると、すべての重さで、足の接地時間の短縮と脚の剛性のアップに向上が見られたそうです。
(Docherty&Ebben)
なので「追い込みすぎない」範囲でのスクワットの「後」にジャンプ系トレーニングを行うのも「あり」と言えばありと言えるんです。
その他気を付けるポイント
「静的ストレッチ」・・・・
いわゆる、じっと筋肉を伸ばし続けてじっとしている、皆さんご存知のいわゆるザ・ストレッチ!(スタティックストレッチ)は、筋肉の剛性やバネ感を急激に低下させる効果があります。(Magnusson)
(逆に言えばだから筋肉がよく伸びるようになる)
つまり一般的な筋肉を伸ばすストレッチはジャンプ系トレーニングの前には行わないほうがいいのです。
また疲労性エクササイズ・・・まあ、マラソンのような長距離系エクササイズを行ったあとにジャンプ系トレーニングを行った研究では、
- 「バネパワーに関してはマイナスの影響が出る」
ことが証明されています。(Comyns)
したがって筋肉が、疲労系エクササイズによる疲労を感じる前に「バネ能力向上のためのトレーニング」を行うことが大事です!
※ ( )はすべて研究者
1日のトレーニングで「身体のバネ」だけを鍛える・・・なんてことは大抵の方はないと思いますが「トレーニング全体の組み合わせ方」にも、ちょっとした注意点があるのも事実です。
「バネを鍛えるトレーニング」とその他のトレーニングの1週間の中での分割の仕方
最後にここで皆さまとののやりとりをご紹介しましょう

大学一回でバスケットをしています!
今回はジャンプトレーニングやアジリティトレーニングは筋トレの前と後どちらにやるのがいいのかまた、別の日にした方が効率がいいのかを教えてもらいたくてDMさせてまらいました!お答えいただければ嬉しいです!

ただアジリティやジャンプトレは筋トレ前に行うのが基本です(^_^))

ありがとうございました
と言うものでした。
部活や、何かのスポーツのために筋トレをしていると言う方もたくさんいらっしゃると思います。
そう言う方たちの中は、筋トレとスピードやアジリティ、ジャンプ力向上を目指すトレーニングを筋トレと同時並行しながら行なっている方もいると思います。
すると、このご質問者さんのように、それらのトレーニングをどのような順番でやったらいいのか? それとも別々の日に分けて行った方がいいのか?と悩む方もいると思います。
この点については、質疑応答で答えた例が最も適切な答えとなります。
まず、トレーニングの内容、頻度、レベル、時間、さらに試合までにどれくらいの間があるのか?によって、トレーニングの組み合わせというのは様々になります。
例えば、筋トレ一つを取ったとしても、その人のトレーニーのレベルによって、一日に全身をトレーニングするのか?
それとも分けて行っているのか? 分けているとしたらそれは2分割なのか?3分割なのか?など様々になってきます。
そこにスピードやジャンプトレーニングを同じ日に持ってくるのか? それとも違う日に持ってくるのか?なとどが加わると組み合わせが色々と変わってきます。
「分割」について
例えば足のジャンプ系トレーニングとスクワットなどの足の筋トレを同時にやっていいのか?という問題があります。
これはやはり「目的」と「レベル」によって変わってくると言えます。
つまり目的が「同じ日に負荷をかけて、休ませるのも同じ日として「超回復」を狙っていきたい」というのであれば、同じ日に実施するべきです。
「ジャンプ系トレーニングはそれだけでしっかりと時間をかけて行い」「筋トレはまた別の日にしっかり時間をかけて行いたい」という目的があるケースもあります。
この場合はそれぞれジャンプ系のトレーニングとスクワットを別の日に行うのもありです。
前者はどちらかというと、それぞれのトレーニングの量が少ない初中級者に向いていて、後者はそれぞれのトレーニングの量が多い上級者向けのトレーニングであると言えるでしょう。
また後者に関しては、筋トレの日とジャンプ系のトレーニングを行う日と別に必ず休息日を設けることが大切です。
また、後者は筋トレも分割をしていることが前提です。
これを具体的な例に落とすと
- 月 下半身 ジャンプトレ 上半身 筋トレ
- 火 下半身 筋トレ 上半身 ジャンプトレ(腕立てジャンプなど)
- 水 両方とも休息日 技術練習だけ行うのもOK
- 木〜土 上記と同様
- 日 完全休息日
みたいな感じになります。
こうすると同じ目的のトレーニングが重ならずに、さらに一つのトレーニングに十分な時間と量と強度を持ってくることができます。
今回の記事を参考にしながら、ご自身のトレーニングメニューの組み立てが大丈夫かどうか・・・
よろしければ参考にしてみてください(^^)
ではでは!