深いスクワット
皆さんこんにちは!
パーソナルトレーナーの野上です。
今日は「深いスクワットを行うと、膝と股関節を痛めるのか?」というテーマでお届けしたいと思います。
スクワット・・・キングオブエクササイズと言われる、筋トレの王道のトレーニングになります。
このスクワットはトレーニングを行う際に、とても注意ポイントが多いエクササイズでもあります。
そのような中で、あるポイントから、スクワットに関してはこのような注意ポイントがよく言われることがありました。
それは「スクワットでしゃがむ際は、膝はつま先より前に出してはならない」です。
そして、僕が持っているトレーナーのライセンス団体の一つであるNSCAでもテキストには「スクワットは膝はつま先から前に出さないようにする」ということは書いてありました。
しかし最近ではエピデンスも集まってきていて、そのNSCA自体がこのことを訂正する方向にあります。
今日ご紹介するのは、NSCAの会報誌の2019年5月号に掲載されている記事より引用させていただきます。
深いスクワットを行うと、膝を痛めるのか?
まず、ディープスクワット・・・つまり深くしゃがむスクワットですが、このスクワットを行うと見るからに膝に悪そうな感じがひしひしと伝わると思います。
しかしですね・・・この比較的新しい報告では驚くべき内容が記されています。
どいうことが書いてあるのかというと、スクワットに関してはしゃがむ深さがある程度以上の角度になると、膝に対する負荷は逆に軽減されていく・・・ということが記されています。
膝の屈曲角度が深くなると膝に対する負荷もどんどん強くなりそうなイメージが誰しも持っていると思いますが、実はそうではないのです。
この理由として、膝の角度がある程度以上になると、大腿四頭筋とハムストリングスの筋肉が両方とも収縮する「共収縮」という状態が起きます。
すると膝間接の角度がある程度を超えたあたりから、膝に対する剪断力が減少すると考えられています。
また、最新のエピデンスでは、ディープスクワットの結果として、半月板や軟部組織の退行変性の増加は認められなかったそうです。
そして、スクワットを行う上での膝に対する膝蓋大腿の間接にかかる負荷の最大値は、下ろしていく局面では、約85度で4548N、あげる局面での膝間接の角度は95度で4042Nとなります。
そして、この角度を超えていくと、膝に対する剪断力というのは減少していくと考えられています。
まあ、その角度が「最大値」なのですから、その前後は浅くても深くても数字は少なくなっていくはずですよね(^^;
そして、この角度より深い角度でスクワットをした場合の膝にかかる負荷の数字は、各組織の耐性の範囲内である・・・と報告されています。
つまり、スクワットで膝の角度がきつくなると膝を痛めるというのは、エピデンスベースではすでに過去の話になってきているのです。
こうなるとも膝を前に出して膝の角度が深くなるから膝を痛めやすいという理屈は今後さらに通用しなくなっていくと考えられます。
まあ、スクワットは膝だけで行なっているのではなく、股関節の働きを十分に使わなければならないので、お尻を引いて股関節の角度を十分に使ってスクワットをすることは大切です。
しかし、その際に「膝が前に出てはならない」という事に関しては今後あまり気にせず、膝が内や外にずれないかという、左右のブレに注意していく方が正解になっていくと思われます
深いスクワットを行うと、股関節を痛めるのか?
続いてさらに股関節について色々とお話ししたいと思います。
実はですね・・・・この股関節に関しても、最近は、ディープスクワット・・・
つまり深くしゃがむスクワットを行なっても股関節にもそれほど強い負荷がかからないということがわかってきているようです。
外部負荷を使ったパラレルスクワット・・・つまり普通のスクワットでは、股関節にかかるトルクは28.2N・mであることが示されました。
これは、そして当然のことながら深さが増すにつれ、この力は増大していきます。
しかし、その値は「有害」にあたる領域までは届かないということが支配的になってきているようです。
それはどれくらい「有害ではないのか?」ですが・・・
関節インピンジメントという疾患があります。
これは、股間節を構成する、太ももの骨と、骨盤のくぼみの間に、変形が見られ、隙間が詰まってしまい、太ももの骨と骨盤がぶつかり合ってしまう疾患を言いいます。
ちなみにインピンジメントとは「衝突」を意味します。
特に、これは骨盤の前側、上部のくぼみの部分によく見られます。
太ももがすっぽり収まる骨盤のくぼみの部分の、前側上部・・・
つまり、ディープスクワットをした際に骨盤と太もも骨が思いっきり狭まる部分に疾患(衝突)が起こるわけです。
ここに障害がある場合にディープスクワットはやってはいけないというのがこれまでの定説でした。
しかし、最近では、この股関節インピンドメントの患者にディープスクワットをやらせても、股関節の可動域に(ROM)に変化がなかったことが報告されています。
そしてディープスクワットにおいて股関節の可動域が制限されるとしたら、股関節自体に問題があるのではなく、腰部・・・
つまり「腰」に何かしらの制限因子があり、それを股関節でカバーする「代償作用」が働いている可能性が高いと示唆されています。
最新の研究では、ディープスクワットに必要な膝の屈曲角度は135度より大きく、股関節に関しては95〜116度であることがわかっています。
ちなみに受動的な股関節の屈曲角度は120度から140度に達します。
これが股関節では137度であるとされています。
ややひざ関節の方が屈曲の角度が可動域限界に対して、近い数値を出しているところが興味深いポイントでもありますが(^^)
ここで大切なことは、自分がこの二つの関節の可動域両方とも達成できているか?です。
片方がクリアできていても、もう片方がクリアできていないと、様々な場所に「余計な負荷」がかかってしまいます。
いくらデイープスクワットが最近されほど膝や股関節にイメージほどは負荷がかかっていないことがわかってきていても、それは「膝」と「股関節」が両方とも適切に動いていればの話です。
- 膝関節に関しては、うつ伏せに寝て膝を誰かに曲げてもらい、しっかり膝関節が適切な角度まで曲がるかをテストする必要があります。
- 股関節に関しては、仰向けに寝て太ももの裏を持って膝を胸に引き寄せて股関節が適切な角度まで曲がるかをテストする必要があります。
- 両方の角度の連携を調べたかったら、仰向けに寝て「足首」を持ち、足を胸に引くことによって、膝関節と股関節が利用法とも同時に適切な角度まで曲がるかどうかを判別できます。
色々書きましたが、ディープスクワットを普段からやっているという方は、よろしければご参考にしてください(^^)
ではでは!!!