呼吸

【体幹の科学】横隔膜呼吸と体幹の安定性について

呼吸と体幹

横隔膜呼吸と体幹の安定性

皆さんこんにちは

パーソナルトレーナーの野上です

今日は「横隔膜呼吸と体幹安定性」というテーマでお届けしたいと思います。

今日は・・・・・難しい?・・・・

・・・・かもしれません(^^;

できるだけ噛み砕いて説明していくつもりです!!(^^;

まず、呼吸です!

ヨガをやられている方・・・・呼吸法を散々やらされると思います。

空手でも「息吹き」と言って、呼吸を腹の底から吐きながら体幹を固定させる呼吸法をやらされると思います。

体幹インナーマッスルトレーニングの基本「ドローイン」も大きく息を吐いて、お腹を凹ますトレーニングです。

このように呼吸とスボーツやトレーニングって、かなり結びつきは強いです。

呼吸法なんて何の意味があるの?

なんて思われるかもですが、そもそも人間は呼吸をしなければ生きていけません!

そしてこの呼吸は「体幹の安定性」と、実はかなり深い関係性があります。

「横隔膜」

呼吸は横隔膜の動きと連動して行われます。

では横隔膜と体幹の安定にはどんな関係があるかですが・・・・

とある研究では慢性腰痛18名と腰痛のない29名を対象に、通常呼吸中及び通常呼吸を行いながら外的負荷に抵抗して行う上半身と下半身の運動中の測定を行なった結果・・・・・

  • 腰痛があるグループは、腰痛がないグループよりも「横隔膜の移動が少ない」ことが判明した

そうです。

また「横隔膜の位置がより高い位置ある」ことが指摘されています。

研究者(Kokar)らによると

  • 横隔膜の呼吸運動は、その安定化の働きと同時に起こる
  • 横隔膜の身体安定化機能が弱い人は、この「呼吸」と「同時性」に障害があり、脊椎文節への過剰な負荷が生じる

と述べています。

・・・・難しいですね(^^;

これを噛み砕くと

呼吸と横隔膜の動きの連動がうまくいかないと、体幹に過剰な負荷がかかりやすくなる!!

という感じでしょうか・・・

別の研究者(O`Sullivan&Beale)によっても、

  • 痛みのある被験者はコントロール群に比べて呼吸率が上昇し、横隔膜の動きが少ないことが示された

そうです。そして痛みのない群は、横隔膜の動きは最大限まで移動(稼動)していたそうです

別の研究では

  • シャベルを持って雪かきする動作をする際、腰背部への負担と呼吸の負担が同時に起こった場合、脊椎に提供されるべき支持力が減少する

ことが指摘されています。これらが何を示しているか?ですが・・・

身体は安定性よりも呼吸を優先するということです。

どういうとかいうと、十分に鍛えられていない運動組織にとって、安定性に大きな変動が生じると体幹の固定が一時的に失われます。

しかし、十分に鍛えられた運動組織を持つ人は呼吸と脊椎の安定化という二つの課題に同時に対応ができます。

その結果、体幹の固定( 安定)にはあまり大きく変化しないそうです。

簡単に言えば、運動不足の人は、呼吸の要求が高まると横隔膜の姿勢支持活動が低下して呼吸を優先させます。

またトレーニングを積んでいる方も、高強度の運動中になり呼吸が苦しくなると、脊柱のコントロールは二の次になり脊椎構造損傷の危険性が増加し、姿勢のコントロールが難しくなります。

そして最適な呼吸パターンが横隔膜の姿勢安定化能力を向上向上させる可能性があります。

アスリートは呼吸法の向上により、コアスタビリテイの減少を抑制しながら活動を延長しトレーニング強度を高めることができるとされています。

関連YouTube動画 呼吸とスポーツパフォーマンスの意外な関係をご紹介します!

「呼吸パターン」

呼吸は横隔膜の動きと連動して行われます。

そして、呼吸パターンは、身体的・化学的・情緒的な理由により呼吸の量や速度が変化をします。

呼吸のパターンに問題が出ると、身体はこれを埋め合わせようと、胸郭上部の呼吸補助筋を動員し、さらに呼吸速度を速めたり、呼吸の要求に伴い様々な呼吸パターンを用意します。

アスリートにとって、運動中に呼吸速度などが速くなるのは自然な反応です。

しかし安静時にアスリートがゆっくりとした横隔膜呼吸に回復できない場合は問題が生じます。

安静時に早い呼吸パターンを示している場合は、呼吸器系に負担がかかった場合さらに不健全な呼吸パターンをもたらすことがあるからです。

そして呼吸機能障害の「原因」に関しては様々であるにもかかわらず、大多数の障害はよく似たパターンを示すそうです。

どういったパターンかというと「呼吸頻度の増加」と「胸部呼吸」です。

これはバラバラに起こることもあれば、この二つが同時に起こることもあります。

特に呼吸頻度の増加が起こる極端な例は「過呼吸」と言われ不安や不運神経症との関連があります。

これはスポーツでもそうですか「ストレス」がかかると速度の速い胸郭上部の呼吸パターンが更新する傾向にあります。

そして、ここで先ほど話した事と関係が出てくるのです。

それは身体は「体幹の安定性」よりも「呼吸を優先する」です。

つまり試合前に過度に緊張すると、呼吸速度が速くなり、身体は体幹の安定性より呼吸機能を優先させるので、体幹の支持力が弱くなり十分なパフォーマンスが発揮できないという寸法になるわけです。

なので、大事な試合前のように過度なストレスにさらされた時ほど、良い呼吸パターンを促す必要があるということです。

早い呼吸パターンがもたらす問題として、身体のpH(水素イオン濃度)に及ぼす影響があります。

血液のpHは、通常7.35~7.45の弱アルカリ性に保たれています。

ところが、呼吸が速くなると吐き出される二酸化炭素が増えてpHが上昇する可能性が高まります。

(呼吸性アルカローシス)

これが起きると、脳や筋肉に届く血液量が減少し(ボーア効果)さらに血液から放出される酸素量も減少します。

十分な血液量が供給されなければ、

  • 筋緊張の亢進
  • 運動制御の低下
  • トリガーポイントの永続化(痛みの出る箇所が固定される)
  • 筋肉の痙攣の増加

などの可能性が高くなるわけです。

また呼吸機能障害は、姿勢のバランスと下肢の固有感覚機能に悪影響があることも知られています。

普段の姿勢の制御やスポーツの試合におけるパフォーマンス的にも、呼吸速度のコントロールというのはとても大事な役割を果たします。

もう一度繰り返しますが、運動中に呼吸が速くなる・・・これは正常です!

問題は試合前にストレスを受け、安静にしている時に呼吸が速く、浅くならないよう気をつけましょう!と言うお話だと思っていただければいいと思います(^^)

呼吸は「姿勢」に影響を与えます

日常生活において、姿勢の重要性を語る必要はないでしょう(^^)

皆さんの方が良くご理解されていると思います。

姿勢が悪くなると、まず肩こり、腰痛などを発症しやすくなります。

また、美容のためにトレーニングして、せっかく脂肪減少に成功したとしても、姿勢が悪かったら見た目が全く美しくない・・・・なんて結果にもなりかねません。

スポーツシーンにおいても姿勢は重要です。

正しい「構え」は武道に限らず、テニスや野球、バレーなど高速でくる物体に対して素早く対応するためには、必要不可欠なものです。

では呼吸と姿勢にはどのような関係があるのか?ですが・・・

Obayashiという方が姿勢と呼吸がどのように相互に影響し合うかを研究があります。

どういった研究かというと、トレーニング装置に向かって行う呼吸訓練を1回10分間ずつ、週3回行ったそうです。

そして胸椎と腰椎の彎曲、肺機能、体幹の屈曲・伸展の筋力を計測した結果・・・・

  • 胸椎後弯が5.5°減少した
  • 腰椎前弯が3.1°減少した
  • 肺機能は、努力肺活量が4.1ℓから4.3ℓに、1.0秒の努力呼気肺活量が3.4ℓから3.7ℓに改善した。
  • 体幹屈曲筋力は10.6%(695Nから769N)改善したのに対して、体幹伸展筋力には変化は見られなかった

という結果が出ています。

んーと・・簡単に言うと・・・

姿勢が良くなり、呼吸をする力が強くなり、体幹の力も向上した・・・

と、いいことずくめだったそうです(^^)

研究者らは呼吸筋を鍛えることにより、姿勢改善に効果があったことに対して、それはおそらく深部のコア安定筋が刺激されたためであることを明らかにしています。

被験者は横隔膜呼吸を行っていたわけではなかったそうですが、この研究は呼吸訓練により姿勢に良い効果があることを示唆しています。

呼吸・・・突き詰めると色々と深いですね(^^)

色々書きましたがよろしければご参考にして下さい(^^)

ではでは

参考文献

NSCAストレングス&コンディショニングジャーナル2016年 5月号

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