皆さんこんにちは!
パーソナルトレーナーの野上です。
今日はスピードアップをテーマにお話ししたいと思います。
スピードアップには主に2つの重要な要素があります。
それは「加速」と「トップスピード」です!
基本的にはこのどちらかがかけていても、スポーツシーンに於いては不利になる事は間違いないと思います。
レジスティッドスプリントとアシスティッドスプリント
まず基本から・・・・!
加速局面に対しての有効なトレーニングの代表選手として「レジスティッドスプリント」というものがあります。
これは要するに「坂道を「駆け上がる」ダッシュ」のことを言います。
坂道という抵抗( レジスタンス)を筋トレ的に利用して、筋力アップをはかり、「加速力」をつけるトレーニングとして広く知られているトレーニングです。
いろいろな競技の練習に取り入れられていると思いますし、プロ野球やプロボクサーの練習風景にもよく出てきますよね(^^)
他にも、人が後ろからやや引っ張って走るような抵抗のかけ方もあります。
これはレジステッドトーイングと言います
つづいて「トップスピード」を高める練習の代表選手は「アシスティッドスプリント」という練習方法です。
これは要するに「坂道を「駆け下りる」ダッシュ」のことを言います。
坂道を利用して駆け下りる事によって、いままでに出せる事の出来ない領域のスピードを傾斜という「アシスト」を使って出す事により「トップスピードの向上」を目指すトレーニング方法の代表選手です。
速い選手に引っ張ってもらうようなやり方もあります。
これはアシステッドトーイングと言います
これは陸上競技の短距離選手なら、この練習をした事のある方も多いと思います。
でですね、この「レジスティッドスプリント」と「アシスティッドスプリント」は、本当に「加速力向上」「トップスピード向上」の万能とトレーニングなのか?
という、ちょっとディープなネタを話して行こうと思っています。
こういうフリをすると、答えは予想出来ると思いますが、実は万能といわれれば「NO」なんです(^^;
それは何故なのか?
「坂道」のトレーニングにおいて
最大の難関は、その坂道の「傾斜角度」は本当に適正なのか?という問題が浮上します。
まず下り坂を疾走するアシステッドスプリントからですが、実はこれを研究したデータがちゃんとあります。
諸説あるものの、アシステッドスプリントに使う計尺角度はおおむね2%から7%の傾斜が実験データによる推奨範囲の限界です。
ただし3%を超えると、傾斜の助けによるストライドのスピードの向上はあがらなくなり、ストライドの長さのみが長くなる傾向になります。
そうすると一歩一歩にかえってブレーキがかかる可能性が高いのです。
そのためアシステッドスプリントで利用される傾斜角は2〜3%程で実施していただくのが無難かもしれません。
次に加速力向上のためのレジステッドスプリント、いわゆる坂道を駆け上がるトレーニングの傾斜角の推奨格です。
まずランニングフォームを変える事なく加速力をあげられる角度は、スタート能力と加速に関しては8%という急勾配が推奨です。
またスピード及びスピード持久力の向上に関しては1〜3%の傾斜角を、また3%の傾斜角は股関節の筋力向上に有効的であるというデータがあります。
坂道トレーニングの問題
でですね・・・・ここで問題が・・・・・
みなさん、傾斜の角度を計測できる機械ってもってますか?
ちなみに僕は持ってないです(苦笑)
普通の人はもってないですよね?
そしてもうひとつ問題が・・・
そんな都合のいい角度の傾斜が必ず身の周りにあるのか?ということです。
よし!今日はスタートダッシュの練習のために8%の傾斜てトレーニング!
次の日はトップスピードの為にぴったり3%の傾斜でトレーニング!!
なんてできますか?
坂道は自然がつくりだすものて、坂道の間でも微妙に傾斜角度は変化するのが普通です。
また、ある程度の距離(とくにダウンヒル)が必要ですが、そんな都合のいい話が日本全国にどこにでもあるのかというと微妙ですよね。
さらに、山の地域の方は、冬は雪になってしまう方も多いですよね?
これらが坂道トレーニングの有効性を知りつつ、そのトレーニングが万能かのようには利用できない理由です。
そしてここで一つ補足が・・・。
「アシスティッドスプリント」ですが、スプリントをアシスト・・つまり「補助」してくれれば実はどんなトレーニングOKなのです。
次は坂道トレーニング以外の「アシスティッドスプリント」をご紹介していきながらこの問題に切り込んで行きたいと思います!
色々なアシステッドスプリント
スボーツクラブの大定番! 「トレッドミル」を使ったスピードアップ効果について
「高速トレッドミルスプリント」と言うものがあります。
要するにトレッドミルをめちゃくちゃ速く走った場合、効果があるのか?という事なんですが・・・
この高速トレッドミルスプリントを取り入れた場合の運動効果として、股関節を伸展させる(足を後ろに蹴る)トルクと、膝関節の屈曲筋のピークトルクが増大されたという観察データがあるそうです。
おおっ!ではトレッドミルを速く行えばスピートアップするんじゃね?と思われると思うのですが・・・・
やはりこれも一筋縄では行きません。
まず第一にトレッドミルは「地面が動いてくれる」という大きな特性があります。
そのため地面の上でのスピード向上のための筋肉の使われ方と、トレッドミルでの筋肉の使われ方とでは相違がある可能性が非常に高いのです。
あと、もう一つ・・・皆さんダッシュの時って時速何Kmで走っているかわかりますか?
ちなみに100m12秒だとすると1分で500m・・・×60で・・・時速30Kmですよね。
スポーツクラブに置いてあるトレッドミルで時速30kmでるトレッドミルを僕は知りません!
普通は時速20Km迄なんです。(もっと低いトレッドミルのも多数)
いつもより速いスピードで走るためにアシステッド(補助)されなければならないのに、いつもより遅いんじゃ話になりません!
次にレジステッドスプリントですが、これはもう地面が動いている時点でアウトです。
だって、足を後ろに蹴る際にレジステッド(抵抗)になっていなければならないのに、蹴る動作をベルトがまわって、抵抗どころか補助的になってしまっているのでこれではダメです。
またレジステッドスプリントの目的はトップスピードではなく、加速力向上が目的なのですが、トレッドミルでは人間が地面の上を加速しながら走ると同じような加速をさせるのは不可能です。
トレッドミルはいくら加速ボタンを押した所で一定の安全なスピードでしか加速しません。
つまり、事実上トレッドミルでは、
- トップスピード向上のためのアシステッドスプリントを行うにはスピード不足
- 加速力向上のためのレジステッドスプリントとして利用するには、そもそも肝心の抵抗がかからない
ということになるんです。
スポーツクラブに通われている皆さんにはとっつきやすい手頃なトレッドミルですが、スピードアップトレーニングで利用するには、まだ、屋外で適当な坂を見つけた方が全然効果的です!
関連YouTube動画 ランニングマシーンで足は速くなる? スピートアップトレーニングについて
アシステッドトーイングについて
トーイングとは「牽引」の意味なんです。
人を牽引する事によって、普段走っているスピードよりも速いスピードで走ることが目的なトレーニングです。
この効果はストライド長の増大というより、ストライドの頻度の向上を狙ったトレーニングになります。
このトレーニングをする時の注意点なんですが、まず引っ張られている方も「全力」で走るという事が大事になります。
言葉の矛盾を承知で言うと「引っ張られては行けない!」んです。
自分は何もせずに、ただ引っ張られて足が勝手に動いているという状態ではなんの意味もありません。
引っ張られていると感じない「適度」な牽引が大事なんです。
これがどれ位の目安かというと、最大スピードの「106% ~110%」くらいのスピードに調整しそれ以上に上げては行けません!
また走行距離は30m~40mを超えないように調整します!
フォームも崩れてはならず、あくまでいつものフォームで全力で走りなんとなく、いつもより足が速く回っていると感じる程度に「アシスト」「トーイング」するんです!
できれば、自分より少しだけタイムの速い人に前を走ってもらうのが一番リアルな方法かも知れません!
短距離のトップスピードを上げるトレーニングとしては、ダウンヒルの走行やランニングマシーンのオーバースピードでのランよりは、はるかに現実的な調整が可能なトレーニング方法と言えるでしょう!
ぜひ先輩やお友達に頼んで実施してみて下さい!
ただしタイム差はちゃんと管理しないと、トップスピードでの転倒というリスクがありますので十分に気をつけて下さい!
「アシステッドスプリント」をどれくらいやるべきか?
最後に皆さまとのやりとりを詳しくご紹介したいと思います。
ご紹介するのはこのようなやりとりでした。
ボクシングジムでトレーナーをしております!
いつも勉強させていただいてます!
坂道の下りダッシュは週に何回ほど、距離と本数していけばいいでしょうか
お時間あるとき又教えて下さい!
長々とすいませんでした
また、ボクシングの「何のために」下り坂ダッシュを取り入れるのか?iによっても距離、本数頻度は変わると思います
と言うものでした。
一つのトレーニング種目をどれくらいの強度と量、頻度で行えばいいのか?
これについてはトレーニングの原則の一つである「個別性の原則」と言うものが当てはまります。
これはQ&Aで答えたように「トレーニングの量や強度は個人個人で違う」と言う原則です。
当たり前の原則なのですが、これが結構できていないケースが多いです。
例えばチームでプレーするような種目では、みんなで同じようにアップして、ボールを使った練習をして、みんなで最後にゲーム形式のトレーニングをする・・
せいぜいポジション別でトレーニングを分けるくらいで、完全に個人の弱点や課題に合わせて最初から最後まで個別で練習をするなんてことはほとんどないと思います。
今回ご質問のあったボクシングと言う競技でもみんなと同じようにロープスキッピングして、ミット練習して、サンドバック叩いて、最後スパーリングをして、練習最後にちょっと筋トレ・・・
個人個人が別々に練習しているようで、実は中身はほとんど同じと言うケースも多いのではないでしょうか?
人は一人一人違います!
なのでその人にあったトレーニングも一人一人違わないと本来いけないのですが、これがなかなか難しいのです。
今回テーマに上がった下り坂のダッシュはアシステッドスプリントと言われる種目です。
この種目の目的は「足の「回転」のさらに「トップスピード」をあげることです。
これがボクシングという競技にどれくらい役に立つのかはちょっと僕にはわかりません。
なぜならボクシングでは足をトップスピードで回転させるシーンというのはないからです。
足を鍛える事はもちろん必要です。
しかしボクシングという競技であれば、スクワットジャンプをはじめとする各種ジャンプ系のトレーニング(プライオメトリッくトレーニング)や、クリーンをはじめとする爆発的エクササイズの方が競技的特性に合うように思います。
ボクシングは足を爆発的に伸展させ、その伸展の力を腕に伝えてパンチ力につなげるシーンがほとんどだからです。
むしろそういう意味では「坂道を登るダッシュ」(レジステッドスプリント)の方が足の伸展力が向上されボクシングにつながりやすいと言えます。
※タイヤ引きダッシュもレジステッドスプリントです
ただし、全く無駄なトレーニングであるのかというと、そうでもありません。
例えばフィジカルの能力に劣っていて、特に身体の動きが遅いという選手に、スピード系のダッシュをさせ「素早い動き」を身体に身につけさせるという目的であれば、それは理にかなっていると思います。
なので 色々と今その選手の「課題」や「目的」が大切になってくるということになります。
また試合前のテーパリングの時期というのは、身体に疲労を抜きつつ、スピード・パワーを維持させなければならないので、そういう時期の「身体のスピード感覚の維持」という目的で行うのであればこれもいいと思います。
ただし、この時期は疲労を考慮して2〜3本程度に抑えることが大切です。
逆にテーパリングの時期に疲労を誘発させる「坂道を登るダッシュを数多く行うトレーニング」はお勧めできないトレーニングとなります。
なので試合までの時期というのも大切な要素になるのです。
一応の目安ですが、試合が関係なく、他の練習もちゃんとしている前提で、アシステッドスプリントを行なっていくには週に2〜3回ほど数本行えば十分だと思います。
また、せっかく坂があるのなら、同時にレジステッドスプリントの練習も取り入れた方が良いと思います。
これも週に2〜3回ほど、数本行えば十分だと思います。
同じ日に行なっていっても全然OKだと思いますが、その時は両者を行う順番だけ気をつけた方が良いです。
順番は「アシステッドスプリント」を行なってから「レジステッドスプリント」を行うようにしましょう。
スピード系の練習は「先」に行うのが鉄則です。
レジステッドスプリントで疲労してからでは「スピードが十分に出せない」からです。
ぜひ競技的特性と、個人の課題・目的、そして試合までの時期を考慮して「その人にあったトレーニング」を身につけるようにしましょう!
色々と書きましたが、よろしければご参考に(^^)
ではでは!
