みなさんこんにちは!
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「疲労はだませる」というテーマでお届けしようと思います。
昔から知っているお客様の一人に、僕がその方が医学生の頃からトレーニング指導していて今では幾つかの病院を経営されるまでになった病院の大先生がいます。
その方が医師になりたての頃は「若先生」とからかっていましたが、もう流石にからかえず・・・
というわけでもなく今では「大先生」と呼んでからかっていたりします(^^)
その「大先生」は去年一年間1日たりとも休まず、なんと1日16時間働いていたということでした。
(その時は1年ぶりの来館でした(^^; )
「死んじゃうよ?」とか「1日24時間しかないんだから」とか色々と忠告したのですが・・
「大先生」曰く「経営者だからやってられるんですよねえ、雇われの方だったらとっくに鬱になっていたかも」とおっしゃっていました。
そこで僕が言ったのが「多分疲労がマスキングされているだけだから本当に気をつけた方がいい」と言ったら、大先生「はっ」としていました(^^;
おそらく思い当たる節「ありあり」なんでしょう(^^;
今日はこのへんのことをお話ししようと思います。
マスキング
疲労って何?ってところからです。
まず「疲労物質」と言われるものがあります。
「疲労物質」は通常FF(Fatigue Factor)と言われています。
(決してファイナルファンタジーのことではありません(^^; )
これはタンパク質の一種で現在2種類の物質がFFに当たると言われています。
各細胞から出たこのFFが巡り巡って最後「脳」がこれを察知します。
脳のどこで察知するのかというと「前頭前野」という部分の、さらに「眼窩前頭野」というまさに目の真上に位置する部分で察知します。
要するに「脳」がFFの増加を察知することにより「疲れた」と判断し、身体に休息するよう指示するというのが「疲労」です。
疲れが溜まってくる(FFが増えてくる)ということは身体にとって危険なシグナルなので、休息して身体の回復を図れるように自然と身についているメカニズムとも言えます。
しかし・・・・これには盲点があるんです・・・
「疲労感のない疲労」
疲労は「脳が感じる」「脳が判断する」ことなので、その肝心の脳に「とある刺激」が入ると、その判断が消えてしまう(脳がマスクされた状態と言う)ことがあります。
それは「達成感」とか「やりがい」「心地よさ」「ご褒美」などの刺激です。
これらの刺激が入ると前頭野がFFが増えて感じている危険なシグナルを「覆い隠してしまう」のです。
上司や周りの人に褒められたい、歩合制でどんどん稼がなくてはいけない、ゲームが大好きでやっている最中はとても心地がいい・・・・・
これらのような状態になると、たとえFFが実際には増えていても、脳がそれを隠してしまうようになります。
危ないですね!!・・ほんとは疲れているのに!!
これを「疲労感のない疲労」といいます。
肥満で言えばほんとは肥満なのに筋肉がないから太って見えない「隠れ肥満」のような感じでしょうか(^^;
危険な状態が隠れてしまっているという点では共通だと思います(^^;
「大先生」には「トレーニングも確かに気分転換としてはいいし、1年ぶりにできたせっかくの休みに真っ先にトレーニングに来るということは、トレーニングできない状態がむしろストレスに感じてしまうタイプなので、そこは止めないけど・・・・
その状態ならトレーニングは週に2回くらいにして、あとは、普段見れない映画を見ながらリビングでリラックスしたり、ゆっくりと散歩しながら空を見上げて、できるだけ目に太陽の光を入れて脳内のセロトニンを増やすようにしたほうがいい・・・・etc」
など僕にできる限りのアドバイスを全てしました。
昼間はハードワーク、仕事後ジムに一直線でがむしゃらにトレーニングする・・・
受験勉強の合間に筋トレを自宅でする・・・
がむしゃらに仕事に打ち込む・・・
勤勉で真面目なタイプの多い日本人には、このようなタイプのかた多いのではないでしょうか?
疲れを感じていないようで本当は疲れているというのは結構危ないです。
ぜひ「疲れていない」と思っていても、積極的に「休息」をとるようにして、心身ともにリラックスできる時間を設けるようにし心身のメンテナンスに努めてみてはいかがでしょうか?
マスキングのシステムをより詳しく
先ほども述べたように「疲労」を感じるのは「身体」ではなく「脳」が感じるものです。
疲労感を拡散させる前頭野は脳内では一番地位が高く、意欲や記憶などの源になって思考と行動を決定します。
そしてここで問題なのですが、この前頭野には「報酬系」が内蔵されており、達成感や快楽が得られる行動を取ろうとします。
まあ達成感を得よう! 快楽を求めよう!というのは、人間であれば自然なことですよね。
つまり、残業で疲れ果てていても、その先に「給与が上がる」「昇進する」とか、部活で疲れ果てているのに「監督に褒められたい」とか「試合に勝ちたい」もしくは勉強で疲れているのに「試験に合格したい」など、いわば・・・・
「ご褒美を期待する」ようになると、この報酬系のスイッチが入り脳内で快楽物質「ドーパミン」が分泌されるようになります。
するとこの「ドーパミン」は快楽物質であるがゆえ、前述したように疲れを覆い隠してしまう性質があるのです。
また疲れを覆い隠すものには「達成感」もあります。
なにか自分の課題を達成すると、やはり脳内が「ご褒美モード」に入りドーパミンが分泌され疲労を感じなくなってしまうのです。
「今日は20Km走ろう」と普段10kmの練習しかしていない人がチャレンジして走り終わった時に、身体は疲弊しきっていても「俺はやったぜ!」とか「自分に勝った」と達成感を当然に感じ、結果どこか「すがすがしい疲労」「心地よい疲労感」のように感じるようなことはよくあることです。
こういう時は、身体は疲労しているものとちゃんと認識し、クールダウンやその後のケアをしっかりと行い翌日のダメージを最小限にすることを怠ってはいけません。
もちろんこれはジョギングでやスホーツだけではなく仕事や勉強も同じです。
半身浴や十分な食事、そして睡眠をしっかりととって本当は疲れている自分の身体のケアを怠らないようにしましょう!
次のページでは疲労は疲労でも運動と疲労の関係について少しお話ししたいと思います。