ランニング・長距離のスピード

長距離ランナーに対して筋トレを行なった時の影響とは?

長距離走に必要な筋肉について

みなさんこんにちは

パーソナルトレーナーの野上です

今日は「長距離に対しての筋トレの影響」というテーマでお届けしたいと思います。

毎日走っている!とジョギングを趣味にされている方も多いと思います(^^)

そしてよく長距離を走っている方からこんなご質問をいただく事があります。

それは「長距離の選手なんですけど、筋トレってした方がいいですか?」というご質問です。

今日はこの辺についてお話ししたいと思います。

筋トレはランニングに効果的なのか?

まず長距離選手にとって大事な要素の一つに「ランニングエコノミー」というものがあります。

これは「長距離をいかに省エネで走れるかの能力」と思っていていただいて間違いないと思います。

正式には「一定速度で走る際の単位体重あたりの酸素摂取量」と定義されていますが・・・

わかりづらいので上記の表現の方が覚えやすいと思います(^^)

で、このランニングエコノミーですが「筋肉のバネの力」をいかにうまく利用できるのか?が大きな影響を与えます。

もしこの「筋肉のバネの力」をうまく使えないようであれば酸素の消費量は30〜40%増加すると考えられています。

酸素の消費量が多いということは「効率の悪いラン」になっていると思ってください。

また、高いランニングエコノミー能力を持っている選手は、

  • 筋力
  • 筋肉の剛性
  • 腱の剛性
  • 力の立ち上がり速度

に優れています。

これらの要素は筋力トレーニングや各種ジャンプ系トレーニング(プライオメトリックトレーニング)によって鍛えていく事ができます。

しかし、筋力トレーニングや各種ジャンプ系トレーニングと筋肉の持久系のトレーニングはある意味では「相性が悪い」のです。

これを「干渉作用」と言います。

筋肉の持久力のトレーニングの効果は

  • 心拍出量
  • ミトコンドリアの密度や毛細血管の密度の増大
  • 最大酸素摂取量の増大

です。

これに対して筋トレの効果は

  • 神経筋の活性と筋肥大に伴う最大筋力の向上

です。

そして筋肉を大きくしたい場合、ジョギングのような持久系トレーニングをすると筋肥大や筋力の向上が「抑制される」方向に影響を受けます。

んー・・筋肉を大きくしながら脂肪を落としたいと思ってと筋トレと有酸素運動をしている方にはチッョトショックかもしれませんが・・(^^;

長距離に対しての筋トレの影響

では、筋トレと持久系のトレーニングを行うと、長距離の能力の向上も「抑制される」方向に影響を受けるのか?ですが・・・

これ実は「マイナスの方向には影響を受けない」とされているのです。

むしろ「いい影響」を与える事が多いという研究が多数存在します。

また一応念のために言うと、筋肥大系のトレーニングと持久系トレーニングの筋肥大に関するマイナスの影響も「大量に持久系のトレーニングを行なった場合」に影響を受けやすいのです。

これもこう書くと多くの方が「じゃあ有酸素運動やめよう」とステレオタイプな考えに陥る方がとても多い傾向にあるので予め述べておきます(^^;

なのでアップで有酸素運動をしたり、ちょっと走ったりする程度では影響は受けないですしそれによって鍛えられる能力もあります。

スポーツをしている方は特に両方ともやっておいた方がいいケースの方が多いです!

話を戻しますが、筋トレは長距離に関してはむしろ「いい影響」を与える事が多いという研究が多数存在します。

近年の研究において、

  • 8週間の筋力トレーニングを実施したところ10kmの中盤から終盤にかけてのランニングスピードが向上し、ひいては全体的なパフォーマンスが向上した

とという研究があります。

(Damasceno)

この研究において筋力トレーニングは下半身を中心として週に2回ほど実施したそうです。

トレーニングの内容は3〜10レッブのハーフスクワット、レッグプレス 、レッグエクステンション を行なったそうです。

対象はレクリェーションレベルの男性長距離ランナー19名を対象としています。

また、筋力トレーニング群ではトレッドミルのピーク速度も向上しています。

その理由として筋トレによる「神経筋系の変化」が生じた結果、地面に対して素早く力を吸収し発揮する能力が向上したと考えられています。

ここで大事なのは「神経筋系」という言葉です。

なかなか一般の方には馴染みがないと思いますが(^^;

筋トレの効果として「神経筋の向上」と「筋肥大」の二つの効果が見込めます。

筋肉は脳から神経を伝って動くものです。

筋トレ初期はいわば、この「伝達回路」の伸びが著しく成長するのです。

この伝達回路が伸びることによって「筋肉の使える部分が多くなる」と思っていただければ間違いないと思います。

すると筋肉自体は大きくなっていなくても「使える部分」が多くなるので使用重量が伸びたり回数が伸びたりするのです。

8週間という比較的短い期間でもパフォーマンスの向上が見込めるということは、自然と「神経筋の向上がいい影響を及ぼした」という結果に帰結するのもうなづけます。

このことは他の研究からも伺い知れます。

十分にトレーニングを積んだ16名のランナーに4週間、週に2回、やはり下半身の筋トレを中心に行なった研究があります。

ちなみに行なった種目は、45度レッグプレス、スクワット、レッグエクステンション 、カーフレイズです。

この研究では

  • 高重量筋力トレーニング群のみで、ランニングエコノミーが改善した

という報告が上がっています。

神経筋を成長させるにはも実は肥大系トレーニング・・・

つまり中重量、中回数のトレーニングよりは高重量、低回数のトレーニングの方が効果的なのです。

長距離ランナーの選手が比較的短期間でパフォーマンスを上げたいという場合は筋トレをやや高重量で行うと良い結果が得られやすいのかもしれません!

関連YouTube動画 結構意外!! 持久系スポーツ選手はどんな筋トレをしたら良いのか? マラソンやバイクをしている方へ!!

ところで「俺って短距離型?それとも長距離型?どっちの素質が優れているんだろう?」

ここで余談ですが、皆さん筋肉には遅筋と速筋というものがあるのをご存知でしょうか?

長距離走のように長い時間その力を発揮することができる筋肉を「遅筋」と呼びます。

かたや短距離のように発揮されるパワーやスピードは凄いものの持続時間が短い筋肉を「速筋」と呼びます。

厳密に言うと、遅筋はタイプ1繊維、速筋はタイプ2a、ax,などのようにその性質により細かく分かれていきます。

長距離が得意な方というのはこの二つの筋肉のバランス・・

つまり遅筋の割合が多く、逆に短距離が得意な方は速筋の割合が多いとされています。

そして一般的にはこの筋肉の割合は生まれついてのもので割合自体そんなには変わらないというのがトレーニング業界の一般的な定説になっています。

(注 速筋線維内・・例えばタイプ2aからaxに変わると言うのはよくある)

こんな話をすると「俺って短距離型?それとも長距離型?どっちの素質が優れているんだろう?」と思うのが自然だと思います(^^;

一般的にはこの割合は50:50と言われています。

でですね、実はこれを測る計算式があるんです。

計算式のご紹介

まず自分の50m走の速度と12分間走の速度(秒速)を出します。

もう一度言いますが 「秒速」を出すんです!

例えば50mを6.5秒で走るのなら、50÷6.5=7.69(m/s)となります。

12分間走を3600m走れる場合は、3600÷(12×60)=5(m/s)となります。

次に、50mの秒速÷12分間走の秒速を計算します。

この場合7.69÷5なので1.54になりますね。

これを仮に「X」として次の計算式にあてはめます。

Y=69.8X-59.8

つまりこの例だとY=69.8×1.54-59.8になり、Y=47.6になります。

これが「外側広筋の速筋の割合(面積比)」になります。

この場合、速筋47.6%、遅筋52.4%になるという事です。

もちろん若干の個人差はでますし、相関関係100%とは言い切れないデータではありますが、一応の指針としてとらえておくとよいのではと思います。

「俺って短距離型?それとも長距離型?どっちの素質が優れているんだろう?」と気になる方はぜひご参考にして下さい!

関連YouTube動画 俺って長距離型? 短距離型? 筋肉のタイプを計算できる計算式をご紹介します!

よろしければご参考に(^^)

ではでは!

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