呼吸器の弱りと身体の歪みの関係
皆さんこんにちは
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「呼吸器の弱りと気圧と身体の歪みの関係について」というテーマでお届けしたいと思います。
世の中には様々な健康法があります。
そしてその中には「呼吸法」と称して呼吸による健康法が世に出ることも珍しくありません。
まあ、それらの健康法はあっているものもあれば「何言ってんの?」と言いたくなるものもありますが(^^;
しかし少なくとも「呼吸」と「身体の歪み」に関しては、明確な関係性があります。
今日はその点について、少しお話をしようと思います。
呼吸器って弱くなるの?
まず、最初にお話したいのは「呼吸器が弱くなる」ことです。
普段から筋トレや有酸素運動など全くしていない・・・
特に仕事でも身体を動かさない・・・
そう言った方も多いでしょう(^^;
筋トレに例えればわかりやすいと思いますが、トレーニングをしていなければ身体はどうなるでしょう?
筋トレをサボると筋肉が衰えていきますよね?
普段椅子に座ったままで、特に息が切れるような運動もしていないということであれば、呼吸に携わる筋肉は徐々に弱っていきます。
いやいや、たかが呼吸くらいの負荷で、筋肉なんてそう弱らないでしょう・・・・
なんて思われる方もいるかもしれませんが(^^;
たかが「歩く」という作業でも、例えば10日間くらい寝たきりの生活をしていたら、その後歩こうとしてもかなりしんどい!なんてことはよくあります。
昔は宇宙飛行士がわずかな期間の間宇宙に行っていただけで、筋肉が衰えて地球の重力に対して対応できず、地球に帰還しても立ち上がれない、歩けないなんていう光景はよく見られたものです。
(最近は宇宙空間でもトレーニングするためこういったことは起きていませんが・・・)
人間の筋肉はそれくらい短い期間動かしていないだけでも簡単に弱くなっていきます!
呼吸といえどそれは立派な運動で、呼吸を行うには当然筋肉の動きが伴ってきます。
これら呼吸に関わる筋肉の働きは、長期間、息も切れないような身体の動かし方ばかりしていれば弱ってくるのは当たり前なのです。
呼吸が弱くなるとどんな影響が出るの?
では、呼吸に関わる筋肉や諸機関が弱くなると身体にどんな影響が出てくるのか?です。
まず、呼吸器が弱くなると自然と「呼吸が浅く」なります。
大きく筋肉が動かせなくなってくるので、当然の現象でしょう。
すると、この場合「身体がリラックスしない」という時間が長くなります。
呼吸と交感神経には深い関係があります。
ドキドキと緊張するような場面では「深呼吸」をする事により気を落ち着けさせる経験は誰でもすると思います。
これは「深い呼吸」をすると、副交感神経が優位になり精神が落ち着くことを利用しているものです。
逆に興奮したり、緊張したりすると自然と呼吸は浅く早くなります。
つまり呼吸が浅くなるということは自然と身体が緊張している状態を招くのです。
そして緊張している時間が長く続けば、筋肉が硬くなっている時間も長くなります。
んー・・
これだけでもなんとなく身体が歪んでいくイメージがつかみやすいのではないでしょうか?(^^;
「呼吸の弱りと肩甲骨のずれについて」
肩甲骨の外転
呼吸器の弱化に伴う体の歪みの代表選手は「猫背」です。
肺を伸縮させる周辺の筋肉が弱いのですから、身体は縮こまっちゃいますよね?(^^;
猫背と一口に言っても細かく見ていくと、その形態というのは実に様々です。
背中が単純に丸まっているだけではないのです。
まず猫背において肩甲骨がどうずれるのか?です。
一般的にみなさんが最も想像しやすいのは「肩甲骨同士が広がる」ことでしょう。
これを肩甲骨の「外転」と言います。
この原因は様々ですが、呼吸器が弱くなったことにより、横隔膜を動かす筋肉の弱化と肋骨と肋骨の間を結んでいる「肋間筋」という筋肉が(これは肋骨の内側外側両方にある)、縮んでいる時間が長くなります。
そしてそれらの筋肉が固まってしまって「肩甲骨同士が広がる」ようになります。
ただ、この外転はそれ以外でも色々な要因で引き起こされることがあります。
骨盤が後傾しているだけでもこの外転は引き起こされるものです。
肩甲骨の下の部分が斜め上に引き上がってしまう
もう一つ起こる事に「肩甲骨の下の部分が斜め上に引き上がってしまう」という現象があります。
これを肩甲骨の「上方回旋」と言います。
そんなことが起こるのか?と言われるかもですが、結構これもあるあるだったりします。
呼吸器の弱化により、肋骨は丸まる傾向になります。
これに伴って先ほどの外転のように肩甲骨が外側に広がるイメージはつきやすいと思います。
実はこの時に、丸まった肋骨に対して、肩甲骨を引き上げようとする働きが生じる方もいるのです。
すると、外から見ると肩をすくませているような形になります。
これが「肩甲骨の上方回旋」でよく見られる姿勢です。
この状態でも、先ほどご紹介した肋骨と肋骨の間を結んでいる「肋間筋」が縮んでいる時間が長くなります。
筋肉は長い時間縮こまっていると、そこで固まってしまう習性があります。
また、この状態では重量物である「頭部」が前にずれます。
すると、その重量物である頭を支えるために首の筋肉および肩周りの筋肉も緊張する時間が長くなり、それらの筋肉も固まっていきます。
こうなると肩の筋肉は常に緊張状態を強いられるのでひどい肩こりを誘発しやすくなります。
片方だけ浮き上がる
もう一つよくあるのは「片方だけ浮き上がる」現象です。
先ほどの上方回旋が、片方だけ起こっているイメージで捉えるとわかりやすいです。
僕もアラインボードというボードを使って「歪み改善パーソナル」というパーソナルトレーニングサービスを実施しています。
その所感ですが、このパターンの方が、先ほどの両方の肩甲骨が上方回旋している方より多くいるイメージがあります。
この両方のパターンの方を見分けるのは割と簡単にチェックできます。
「普通に何も考えないで立ってください」と言って立ってもらい、その方を正面から見ます。
この時に手の甲が正面から見てどれくらい見えるか?がポイントです。
手の甲が正面から見て両方とも盛大に見えていれば両方の肩甲骨が上方回旋をしていて、片方だけ見えているようであればそちらが上方回旋しています。
手の甲が片方だけ見えている方を見ると、そちらの肩が、正面から見て高くなっている確率がとても高いです。
対処法
この時点での対処法は「固まってしまった肋間筋を柔らかくしてあげる」事です。
またそもそもの原因である「呼吸器の改善」も大切です。
肋間筋のストレッチはポールストレッチなどの「胸開き運動」が代表的です。
しかし、ポールがなくても同じような運動はできます。
なにも難しいものではなく、ラジオ体操で「胸を大きく開いてイチ! ニー!サン!」みたいな感じのコールと共に行われるあれです(^^;
腕を左右に振りながら、上を見上げるようにして胸をそらす運動ですね(^^)
あれだけでも普段縮こまっている肋骨を広げてあげるには十分な運動となるでしょう!
あと呼吸器そのものの強さに関しては、できれば「有酸素運動」をしていただくことがおすすめです。
なんか呼吸と言われると「ヨガ」の呼吸などをしたがる方もいますが、それよりももっと手軽なのは「軽く息が弾む程度の速さで歩く」だけで十分です!
なんの道具もいりませんし、今すぐ外に出て、なんの技術も要らずにすぐに行えます(^^)
これだけで十分に普段使っていない呼吸筋の筋肉群を自然に刺激してあげることができます。
「骨盤」への影響
猫背になると次は「骨盤」に影響が出ます。
まずそもそも猫背になるとなぜ骨盤に影響が出るのか?です。
猫背になると重心は「前方」に移動します。
身体が前のめりになるのですから当然ですよね(^^)
しかし、重心が前に行けば、どこかでバランスを取らなくては行けなくなります。
これを「骨盤」で行なっているのです。
具体的には「骨盤後傾」という、お尻が落ちる状態になります。
骨盤が後傾すると重心は後ろに下がります。
つまり上半身は重心を前に、下半身は重心を後ろに持ってきて全体の重心バランスを取るのです。
ええ・・・もちろんいい姿勢であるわけがありません(^^;
こういった歪んだ姿勢で歩いたり立ったりしているとどこかにしわ寄せがくるものです。
この場合、最もしわ寄せがきそうなのは「腰」です。
ちょっと考えてみてもらえればわかると思いますが、上半身は丸まって前方に引き伸ばされています。
骨盤はお尻が落ちているので、腰の部分は、上からと下からと両方から引っ張り続けられる状態になるわけです。
腰は通常、腰の部分が軽く反った状態になるのが自然です。
しかし、骨盤後傾&猫背では、その反対の形で腰の筋肉が引っ張られ続けます。
当然ですがこの状態が続けば筋肉が痛くなります(^^;
腰の筋肉が引っ張られる続けることにより、腰の筋肉周辺の血管が細くなる状態を強いられます。
するとこの筋肉周辺の血行が悪くなり腰の筋肉から痛みが出るのです。
対処
この場合の対処はまず、引っ張られている筋肉を緩めてあげることが大切です。
その為には
- 患部を温める
- マッサージをする
- ストレッチをする
といった手法が対処法になります。
ストレッチに関しては、まず身体を反らす系のストレッチを行いつつも、反対の身体を丸める系のストレッチの両方を併用してあげたほうがいいでしょう。
できれは、ラジオ体操で行う、上半身の前後屈や、回旋運動のように、動かしながら体幹部の筋肉を伸ばしたり縮めたりを繰り返しながら筋肉を活動的にほぐしていくやり方がオススメです。
また腰の筋肉の血行が悪くなると、腰には体感温度を感じるセンサーがあるので、ここの血行が悪いと全身に寒気が走ります。
このセンサーは首の後ろにもありますが、寒い時に首の後ろと腰だけでもカイロを貼ったり、シャワーでこの二箇所を温めるだけで身体全体が温まる感じが得られると思います。
温めると血行自体も回復しますので、骨盤後傾だなと感じている方は腰を温めてあげることを心がけるようにしてください。
マッサージは、自分でできなかったら、テニスボールのような物の上に腰を当てるようにして寝転がるだけでもかなり効果があります。
できれは30秒〜60秒ほど一箇所を押し続けると筋肉の緊張が弛緩してくる反応が起きますので、ここはじっくりと行うようにしてください。
なぜ天気が悪くなると痛いところが出で来るのか?
最後に「気圧」と「姿勢」についてお話ししたいと思います。
台風がやってくると調子が悪くなる・・
雨が長引くと古傷が痛む・・・・
そんな方も多いと思います。
気圧
それには色々な理由がありますが、一つの理由として「気圧」が挙げられます。
天気予報では「高気圧が近づいています」とか、「西高東低の冬型の気圧配置です」と言われることが多いと思います。
これらはもちろん天気を表すものですが、実は、この「気圧」から色々なことが読み解かれるのです。
みなさん自動車に乗って山に行くと、風船がどんどん膨らんでいったという経験をした方もいるのではないでしょうか?
風船でなくても、おやつに持っていくポテトチップスの袋がバンバンになってしまったのを見た方も多いと思います。
そして、僕たちの「肺」ですが、これは胸の中に大きな風船が二つ入っていると思ってください。
低気圧が近づくと、肺は膨れる方向に力がかかります。
山に登って気圧が低くなると風船が膨らむのと同じ理屈です。
なんか逆に低気圧が近づくと、肺がしぼんで猫背になるイメージの方が強い方もいるかもですが、この点については逆です。
気圧が低くなると、空気は膨張する傾向にあります。
気温
そして、実はもう一つ、このような「袋」の体積に影響を与えるものがあります。
それは「気温」です。
熱気球を想像してもらえると分かりますが、袋を熱すると空地は膨張する傾向にあります。
つまり夏は「肺」は膨らみやすく、「冬」に関しては肺がしぼみやすくなると思っていただければいいと思います。
冬の寒い時期に背中を丸めて「寒い寒い」と身体を震わせる・・・・
これは想像しやすいですよね(^^)
このように肺の体積は「気圧」と「気温」の二つの要素により、その体積が変化しやすくなるのです。
で何が言いたいのかというと、最も肺がしぼみやすい条件とは
- 気温が低く
- 高気圧
の日であると言えます。
高気圧というのは、言い換えれば晴れている日です。
つまり冬は、気温が低く、晴れている日が多いですよね(^^)
(関東とか太平洋側の話ですが(^^; )
こういう時期は肺がもともしぼみやすく「猫背」になっている時間が長いと思っていいと思います。
また猫背ではなくても、肺がしぼみやすくなるので、体内の「空気圧」が低い分、周りの筋肉でそれを支えなければならなくなるのです。
背中が大変!!
この状態が長く続くと当然ですが、特に背中側の筋肉が張りやすくなります。
肺がしぼむんで、猫背になると、両腕は前方に垂れ下がり、肩甲骨は横に引っ張られます。
そして背中が丸まれば、頭も前方に垂れ下がるので、背中の筋肉は上方にも引っ張られます。
さらに腰が丸まっているので、当然下方にも引っ張られるわけで・・・
背中というのは、冬の晴れている日は四方八方から引っ張られていると思っていただいていいと思います。
腰の筋肉はそれに対抗するように四方八方を中央に引き寄せるように力を発揮し続けなければなりません。
んー・・背中って大変ですね(^^;
なので、冬の時期が終わりに差し掛かると背中は結構張りやすくなっています。
割と冬から春にかけての時期に、季節は暖かくなってきているのに背中のどこかの筋肉に痛みが出るという方も多いのではないでしょうか?
こういう場合は、ポールなどを使って張っている背中の筋肉の緊張を解いてあげることはとても大事になってきます。
季節の変わり目は「姿勢の変わり目」という意識を持って、各筋肉のケアをしてもらいたいと思います。
色々書きましたが、よろしければご参考にしてください(^^)
ではでは!