成長ホルモン
皆さんこんにちは
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「成長ホルモンの真実」」というテーマでお届けしたいと思います。
まずジムでよくあるご質問に対してのご紹介をしたいと思います。
ジムでたまーーーーに、このような質問を受けるときがあります。
「野上さん、筋肉作るには、成長ホルモンってめっちゃ大切なんでしょ!」
・・・・と・・・・・
僕がこの質問を受ける時の答えは、実はいつも歯切れの悪い答えになってしまうんです(^^;
いやー・・・成長ホルモンは、筋肉を作るためのいくつか必要な要素の一つですけど、そればかりに注目してトレーニングするのは、あまりオススメじゃないんですよねー・・・・
くらいな感じで答えています。
もちろん全く無関係ではありません!
しかし・・・しかしですよ・・・
それほど大事かと言うと、まあ、それなりなんじゃない?
と言う感じなんです(^^)
これそもそも「成長ホルモンってそんなに必要?」という問題があるんですよね(^^;
筋肉の分解と合成
筋肉を大きくしたい!
そんな思いで毎日筋トレに励んでいる方も多いと思います。
筋トレをすれば確かに筋肉は大きくなります。
でもなんで筋肉が大きくなるの?
そんな根源的な質問を投げかけて、ちゃんと答えられる方って少ないのではないでしょうか?
いやいや、筋トレすれば筋肉が大きくなるのなんて当たり前じゃん!と思われるかもしれませんが・・・(^^;
そもそも「どういうメカニズムで大きくなるのか?」という、根元的な部分についてどれくらい理解しているのか?です(^^;
筋肉は「タンパク質」でできています。
次に、筋肉が大きくなるということは言い換えれば筋肉にタンパク質がより多く「くっつく」ことだと思ってもらえればいいと思います。
これを「タンパク質の合成」と言います。
また、筋肉は大きくなるばかりでなく、小さくなる事もあります。
筋トレを長い期間しなかったり、食事が細くなったり、ダイエットを激しくして体重が軽くなった時も筋肉は小さくなるものです。
筋肉が小さくなるとは、正確には「筋肉が溶けて」エネルギーとして使われる状態になると筋肉は小さくなります。
これを「タンパク質の分解」と言います。
筋肉の中では、この「タンパク質の合成」と「タンパク質の分解」は、どちらか片方が行われるというより両方が常に同時に行われています。
合成のスピードが早ければ筋肉がつき、分解のスピードが上回れば筋肉は小さくなるという寸法です。
つまり筋肉を大きくしたかったら、いかにタンパク質を筋肉に「くっつかす」か?が勝負になるのです。
そして筋トレは、タンパク質をくっつかす「きっかけ」に過ぎないのです。
そしてタンパク質を「くっつかす」には、筋トレだけではダメで、様々な物質が絡んできます。
長い前置きでしたが、ここからが今日の本題です(^^;
成長ホルモンの真実
まず、ここでよく出てくるのが「成長ホルモン」です。
筋肉を作ったり、身体を色々と「成長」させるホルモンなのでこのように言われています。
なので「成長ホルモン」を如何に出すか?が筋肉を作る上でとても重要なように今まで言われてきました。
しかし最近では、確かに筋肉を作る一つの要素であるもののその存在意義は「あなたのことはそれほどでも」という感じになってきています。
どういうことかというと、成長ホルモンって「脳」から分泌されます。
そして筋肉は、筋トレした部分が主に大きくなっていきます。
ちょっとおかしいと思いませんか?
脳から分泌されて血管を通して全身を巡るのであれば、全身満遍なく筋肉がつきやすくなるはずです。
つまり筋トレした部分にだけ成長ホルモンが流れ込むわけではないんです。
逆に言えば筋トレした部分にだけ働きかける何かの物質が別にあるはずなんです。
それが「IGF-1」や「テストステロン」と言われる物質です。
筋トレのような局所的な負荷が加わるとその部分からビンポイントに「IGF-1」が分泌されます。
この「IGF-1」が、mTORというタンパク質を介してリポゾームというタンパク質の製造工場のような物質を活性化させて、タンパク質の合成が進んでいくんです。
(んー・・・難しい(^^; )
ちなみにテストステロンは男性ホルモンとして有名で、通常は主に睾丸で作られますが、最近では筋トレをすると、その筋トレをした部分に漏れ出し筋肥大を促すことがわかっています。
最近では「成長ホルモン」は、大人では筋肉を作るというよりも、血糖値を下げたり、脂肪を燃やすダイエットに効果があるということの方が注目されています。
ここで、一つのデータをご紹介します。
まず、普通の筋トレで成長ホルモンをたくさん出したい場合、10回ギリギリできる重さで複数セット、60秒から90秒くらいのインターバルでトレーニングする・・・
というケースがよく聞かれます。
実際のデータをご紹介しましょう!
10回ギリギリできる重さで1分インターバルで行った場合と、5回ギリギリできる重さで3分インターバルで行ったトレーニングの、成長ホルモンの分泌量の差は、このようになります。
トレーニング後15分では、成長ホルモンの分泌量は4倍くらいの差がありますね(^^)
・・・・では・・・・ここで問題です
そもそも成長ホルモンを出したいのですか?
それとも筋肉をつけたいのですか?
・・・そりゃ筋肉ですよね(^^;
成長ホルモンなんて、筋肉がそれでつくっていうから着目しているわけで・・・
では、この表をどうぞ!
これが実際に筋肉がどれくらい作られたか?の差を示したグラフです!
えーっと・・・黒いグラフが高い成長ホルモン、白いグラフが安静時よりは高いもののそれほど高い分泌ではない状態の時のグラフで・・・・斜線のグラフは安静時です。
あれ?
白い方が筋肉作られてる・・・・・・
まあ、ちょっと誤差もあるので、正確なところは「どちらも同じように筋肉が作られている」と結論づけられています!
そう、いっぱい成長ホルモンが出ていればいい!
そうすれば、たくさん筋肉がつく!
・・・・・・なんてことではないんです!
つまり、よく普通の筋トレしている人でも、やたらとこの「60秒インターバル」にこだわる方もいらっしゃいますが、実は少しインターバルをとって高負荷トレーニングをして筋肉に十分な刺激がはいれば、多少成長ホルモンの分泌が少なくても、筋肉はちゃんと作られるんです!
関連YouTube動画 筋肉つけるのに絶対必要!? 成長ホルモンの真実について!!
最後に実際にあったやり取りからのご紹介です!
最後に皆様と実際にあったやり取りをご紹介したいと思います。
やりとりはこのようなものでした。



最近インスリンと成長ホルモンを上手に使って筋肉の発育と体脂肪の減少をより促せないか考えていまして。

というものでした!
んー高度!(^^;
えー、もうなんの質疑応答なんだかわからないという方もいらっしゃると思います(^^;
成長ホルモンに関しては色々前述していると思います
インスリンというのは、ご飯などを食べて、血の中の「糖」が多くなると、このインスリンが大量に分泌され、血糖を取り込み、血の中の糖の量を少なくする・・・という働きのあるものなんです。
で、このインスリンの分泌と成長ホルモンの分泌というのは、シーソーのようにどちらかがたくさん出ているとどちらかの分泌が少なくなるという傾向があるらしいのです。
まず誤解のないように言っておくとインスリンが出るから成長ホルモンが抑制されるということではなく、血糖値が低いと成長ホルモンの分泌がうながされるということです。(血糖値と関連する)
筋トレの後や就寝後には、成長ホルモンがたくさん分泌される「ゴールデンタイム」が存在します。
しかし、この時に糖質をとると血糖値が上がってしまい、インスリンが分泌されるので、せっかくのゴールデンタイムが台無しに・・・・という事をこのご質問者は心配されているのです。
ここでキーワードが「時間差」です。
時間差
筋トレ後の成長ホルモンの分泌のピークは筋トレ後15分位がピークと言うデータがあります。
(もちろんその後も分泌され続けますが徐々にその数値は下がってくる。)
つまり筋トレして、その後食事をしているとしたら、もうあっという間に成長ホルモンの分泌ピークは過ぎていると言う事になります。(下手したら移動時間でおしまい)
また、筋トレ後にプロテインを飲む方多いですが、プロテインはタンパク質が70%も占めます。
タンパク質を多く含む魚やお肉はお米やパンの半分程度のGI値(血糖値の上がりやすさを示すスコア)なので、タンパク質を接摂取しても血糖値が急上昇すると言う事はあまり気にしなくて言いと思います。
さらに血糖値が上がっていくのは食後なので、実は血糖値と成長ホルモンの両者が同時並行的に上がると言うシーンは少ないと考えられるんです。
(筋トレ中に食事をしていれば別ですが・・・)
また、通常インスリンというは血糖値が上がるとわりとすぐに上がっていき、そして血糖値を速やかに下げる物です。
そして、血糖値が「下がる」時にも成長ホルモンは分泌されやすい傾向にあるようなのです。
筋トレ後15分で成長ホルモン分泌ピーク、その後食事等に寄り血糖値上昇・・この時に成長ホルモンの分泌が一時的に下がったとしても、血糖値が下がっていくと再び成長ホルモンが分泌が促進・・・・
と、それぞれに分泌に時間差がでてくるのでそれ程気にする事ではないのではないでしょうか?
また、睡眠時は逆に寝る前に食べたとしても(あまり感心しませんが)、成長ホルモンは深い眠りのノンレム睡眠から、眠りの浅いレム睡眠に変わる時に多く分泌されやすいのです。
これも就寝前の食事で上がった血糖値が下がる頃に、深い眠りのノンレム睡眠から眠りの浅いレム睡眠に変わるので(この間相当時間がある)、これも「時間差」があると考えられます。
なので「インスリンの分泌(血糖値の低下)と成長ホルモンの分泌には「時間差ができる事が多く」、あまり成長ホルモンの分泌の阻害には現実的にはなりにくいのではないか」と答えさせていただいた訳です。
また付け加えるなら、成長ホルモンばかりが筋肉を作る訳ではないので、あまり過剰に反応しなくてもいいのかななんて思っていたりもします(^^)
ちょっとディープな内容でしたが・・
みなさんもよろしければご参考にしてください(^^)
ではでは!