筋トレの生理学

【必見】フォーストレップの科学(補助すると本当に効果はあるのか?)

フォーストレップ

フォーストレップ

皆さんこんにちは

パーソナルトレーナーの野上です

野上の著書 頭からつま先まですべてのコリと痛みをとる事典「史上最高のストレッチ」Amazonのサイトはこちらから

今日はフォーストレップスの科学というテーマでお届けしたいと思います。

筋トレを頑張っている方の中には当然「もう上がらない!」とトレーニング中に力尽きてしまう経験をされた方も多くいらっしゃると思います。

筋肉を大きくしたいという目的でトレーニングをする場合は「できるだけ筋肉を追い込む」ようにトレーニングをすることが大切です!!

筋肉をトレーニングで追い込めば追い込むほど、筋肉を大きくしようとする様々な物質の分泌が盛んになるからです。

・・・イヤイヤ、もう上がんないというところまでやれば十分じゃないの?と思われるかもしれませんが、実はそこからが勝負です。

そこまで筋肉を追い込んだ状態から、さらにどうすれば追い込めるのか?

本当にガチで筋トレをしている方は、そういう目線でトレーニングに取り組んでいるものです。

その一つの手段に「補助」があります。

インストラクターやトレーナー、もしくはトレーニングパートナーに「もう上がらない」という状態になってから、補助してもらい、あと何回かトレーニングすることにより「より筋肉を追い込む」事が可能になります。

この「補助」をしてもらってあげるトレーニングの回数のことを専門用語で「フォーストレップス」と言います。

今日は、この「フォーストレップス」について色々なエビデンスを中心にお話ししたいと思います。

参照元 NSCA全米ストレングス&コンディショニング協会 strength&conditioning journal

中期的な身体の反応はどうだったのか?

「フォーストレップ」が本当に効果があるのかどうか?について「中長期的」に研究した事例は驚くほど少ないそうです。

NSCAの2018年8月現在での会報誌の報告では、一つしか見られていないとのことでした。

しかもこの研究では「フォーストレップ」を使わないグループというのを設けなかったので、「フォーストレップ」自体に効果があったのかどうかがよくわからないという状態になってしまっています(^^;

しかも研究期間が6週間ということで、ちょっと期間的にも結果を推し量るには微妙に短いとも言えますが、まあ、それでもやったのがこれしかないということなので、この研究を一応のサンブルとして上げるほかありません。

それは男子バスケ選手12名、男子バレーボール選手10名を対象にした研究です。

6週間に渡り、3つのグループにトレーニング内容を分けてトレーニングを実施させたそうです。

  • 一つのグループのトレーニングの内容は、3レップ12セット、休息73秒
  • 二つ目のグループは、6レップ4セット、休息165秒
  • 三つ目のグループは、3レップ8セット、休息73秒

それぞれ、総セットの4分の1は、90%6RM、次の4分の1は95%6RM、残り半分のセットは100%6RMでトレーニングしたそうです。

ちなみに6RMとは6回ギリギリ上がる重さを100%とした場合、何%の重さででトレーニングしたかを表している数字です。

なので100%6RMとは6回ギリギリ上がる重さでトレーニングしたということです。

そして、ここがポイントなのですが、ギリギリまでやるわけなので当然上がらなくなるケースもでできます。

そこで「補助(フォーストレップス)」を使うのですが、この補助の回数に関しては、必要時のみ実施して記録したそうです。

そのため、3レップでトレーニングしたグループより、当然6レップでトレーニングしたグループの方が補助を利用した回数は多くなったそうです。

結果ですが、当然トレーニングをしているわけですから、胸囲や筋肉量はどのグループも向上したそうです。

ここでポイントは「補助をした回数」がバラバラであるにも関わらず、筋トレの効果にグルーブ間による「差」は生まれなかったという点です。

つまり何回補助をしても、効果の差にはそれほど現れない・・・

ここはひとつのポイントであると言えます。

「短期的な身体の反応はどうだったのか?」について

次に短期的な研究は中長期的な期間での研究よりは数は多く4つほど研究事例があるようです。

どういう研究家というと「補助なしでギリギリまだ追い込んだ場合」と「上がらなくなってから補助を使ったトレーニング」とではトレーニング後の筋肉に何か変化の差はあったのか?

を色々と調べたそうです。

対象は、運動選手、筋力系アスリート、リクリェーションレベルと多様な対象で、補助を使ったトレーニングはどの研究も3回から5回ほどフォーストレップスを行なったそうです。

用いた負荷は、6回ギリギリ上がる重さから、12回ギリギリ上がる重さに対して100%〜115%の重さでした。

そして、筋肉の何を計測したのかと言うと、

  • 最大発揮筋力
  • 筋活動
  • ホルモン
  • 血中乳酸
  • クレアチンキナーゼ

などを測定したそうです。

ホルモンとしては、男性ホルモンの代表格、テストステロンと言う筋トレを語る上では欠かせない成長ホルモンを測定したそうです。

血中乳酸やクレアチンキナーゼとは筋トレをした際に発生する物質で、これらが多くなると「筋トレがめっちゃ効いている」状態だと思っていただければいいと思います(^^)

ただですね・・・・

これが結構結果がバラバラで・・・

まあ研究結果というものには結果が研究によって違うことはあるあるな話です。

でですね、全体的な結果としてですが「フォーストレップ」を使った場合とそうでない場合では次のような反応がありました。

  • 「フォーストレップ」を使った場合、トレーニング後の筋肉の活動のレベルは低くなり、またそのため回復にも時間がかかる傾向にあった
  • 男性ホルモンの代表格テストステロンの分泌に関しては、補助を使った場合も、そうでない場合も、両者に差は見られなかった
  • 筋トレの「効き」を示す、血中乳酸やクレアチンキナーゼに関しては、補助を使ったトレーニングとそうでない場合とでは、差は見られなかった

ということです。

フォーストレップスを使ったグループの方が筋トレ後の筋肉の緊張している時間が長かったとはどう言うことかと言うと、筋肉がずっと緊張している・・

つまり回復に時間がかかったといえばわかりやすいと思います。

これは特に筋トレ経験の浅い人ほど顕著だったそうです。

また、補助を使ったトレーニングの方が筋トレ後の「最大随意等尺筋活動」と「筋電図による筋肉の活動」の低下が大きかったそうです。

つまり補助を使ったトレーニングの方がより筋肉を追い込んだため、その後の筋肉の活動のレベルは低くなり、またそのため回復にも時間がかかる傾向にあったことを意味します。

まあ、これらはわかるといえばわかる話ですね(^^)

次にホルモンですが、まず男性ホルモンの代表格テストステロンの分泌に関しては、補助を使った場合もそうでない場合も両者に差は見られなかったそうです。

んー、これはちょっと意外でした(^^;

また、成長ホルモンに関しては、一つの研究のみで補助を使ったトレーニングの方が成長ホルモンの分泌が大きいことが報告されています。

そして、成長ホルモンに関しては、中量高負荷のトレーニングよりも、多量中負荷のトレーニングの方が分泌は旺盛だったそうです。

まあ、これはこの研究に限らず、他の色々な筋トレに関する研究を見ても高回数で筋肉を追い込むタイプのトレーニングの方が成長ホルモンの分泌が高いことが知られているので、補助云々の話とはちょっと違ってくるかもしれません。

そして、筋トレの「効き」を示す、血中乳酸やクレアチンキナーゼに関しては、補助を使ったトレーニングとそうでない場合とでは、差は見られなかったそうです。

これもちょっと僕的には意外でしたね(^^;

総じて言うと・・・あれ?

これって・・・・あんまり効果ないんじゃね?

と思われる方も多いと思いますが・・・

その通りです(^^;

全体的には「補助を使ったトレーニング」の方がより筋肉を追い込む傾向にあることには間違い無いようですがただ、決定的に差が大きくあるのか?と言うと、それほどでも無いのかもしれません。

よくボディビル雑誌などでビルダーの選手やフィジーカーの選手が補助を使って「筋肉が焼きつくまで追い込め!」みたいなことを書いてあることがありますが、あんまりそれほどの効果はない可能性が高いです(^^;

ただし、「使わない方が何かしらのメリットがあった」という報告も一つもありません。

せいぜい「差がなかった」という程度の話です。

全体的には「補助を使ったトレーニング」の方がより筋肉を追い込む傾向にあることには間違い無いようです。

このことから、「フォーストレップ」を使った方がいいのか?どうか?という点では、やはり使わないよりは使った方が筋肉を大きくしたいという場合には有利であるでしょう。

フォーストレップの注意点

補助してもらって行う回数はどれくらいやったらいいですか?

僕もお客様に「補助してもらって行う回数はどれくらいやったらいいですか?」という質問はよくいただくご質問です。

いつも僕は「せいぜい1〜2回でいいですよ」と答えています。

これは補助の回数の違い自体に効果の差が見られないとすれば、やはり1〜2回くらいで良いと思います。

フォーストレップの注意点

またこれは補助者のテクニックの問題ですが、僕はよくジムのスタッフに「補助に使う力は最小限にしなさい」とか「ギリギリの所を探しながら補助をしなさい」とよく内部研修の時に言います。

まず補助者はトレーニーがつぶれたら、補助をする時にいきなりバーベルを強くあげてはいけません!

どういう事かというと、例えば100kgでベンチプレスをしている人がつぶれたとします。

この時にトレーニーが100kgのバーベルが99kgになったらもう後一回できる・・・・

というのであれば、その1kg「だけ」を補助するのがベストという事です。

さらに次のレップは97kgにバーベルが軽くなればできる!という事であればその3kgだけ補助してあげるのです。

よくお客様が「潰れてしまった」ことにより、慌ててバーベルを持ち上げようとするスタッフがいるのですが、補助で加える力は「最小」にしないとトレーニングしている方の筋トレの効果が半減してしまいます。

僕はよく言います。

トレーニーがあきらめなければ、女性でも補助が出来ると!

究極の補助は「指1本」で補助する事だということも指導研修の時は言います

だってトレーニーがあきらめなければ、本当に数Kgからせいぜい10kgくらいまで補助できれば充分なのですから。

「補助」ってじつはそれほど力っていらないんです。

ただ、ボトム(一番下げた所)で完全につぶれられてしまうとちょっと女性の補助者にはきついかもしれないです(苦笑)

あとスティッキングポイント「だけ」補助しろともよく言います。

スティッキングポイントとはなにかというと、簡単に言うと「一番上げている時にきつい所」と言えます。

ベンチプレスなら、胸から10~15cmくらいの所で上がらなくなる方がとても多いのですが、その「一番きつい2~3cm「だけ」」を補助してあげるのです。

あとは助けません!!(笑)   ほんとです!!

えーっと、誤解を恐れずに言わせてもらうと、トレーニングしている方はある意味で「ドM」といも言えます(笑)

きっついの大好き!・・・・・・なわけです!

まあ、それは言い過ぎとしても、効果を出す為に努力してきつい思いをしているのに、つぷれたからといってあわてて「ぐっ」とバーベルをあげられてしまったら、一番きつい「美味しい所」が台無しになってまいます。

「ドM」な方にはそれは許されないんです!!

むしろ「おらおら・・・きついだろ?・・・がんばれよ!」とあえてギリギリしか補助をしない方が、トレーニング終了後の昇天具合・・・満足具合に違いが出るのです!

・・・・・・えー、ふざけるのはこのへんにします(^^;

あとトレーニーの中には、むやみにフォーストレップを使いたがる方もいますが、フォーストレップは通常2回程度で十分です。

複数回行なってしまうと、次のセットの使用重量が極端に落ちるか、休息時間が長くなりすぎてしまうことになりあまり良くありません。

最終セットだけ上がらなくなった時、せいぜい2~3回取り入れるなどの方法が個人的にはオススメとなります。

毎セットも行わずに最終セットだけで充分ですので、やりすぎには十分ご注意下さい!

補助者がいてトレーニングできるというのはある意味とても恵まれているトレーニング環境ともいえます。

ぜひその環境を無駄にしないようにしましょう!

よろしければご参考にしてください(^^)

ではでは!

関連記事 上がらなくなるまで筋トレするとどういう効果がある?

関連YouTube動画 【プロが解説】筋トレにおいて補助を使う回数は何回がベストなのか?

PS お知らせ

本を出版することになりました。 頭からつま先まですべてのコリと痛みをとる事典「史上最高のストレッチ」と言う、全身のコリや痛みに対応するストレッチ本です。

著書 【史上最高のストレッチはこちらから】  新星出版社

全国の大手書店さんでもご購入いただけます。 どうぞよろしくお願いいたします。

史上最高のストレッチ

オススメ

YouTube Fitnetssfield
チャンネル登録者数1万人突破!

インストラクター&パーソナルトレーナー歴30年の野上が、ブログでは書ききれなかった情報をYouTubeの動画で分かりやすく解説しています。

\ チャンネル登録お願いします /

YouTubeチャンネルはこちら

-筋トレの生理学
-, , , , ,

© 2025 Fitnessfield(フィットネスフィールド)