加齢ともに衰える筋力とその対策
みんさんこんにちは!
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「マスターズクラス選手の加齢ともに衰える筋力とその対策」と言うテーマでお届けしたいと思います。
年齢とともに体力が衰える・・・・誰にでもくることではあります。
かのイチロー選手ですら、年齢からくる衰えに対して、自分の目標であった50歳まで現役という目標を達成することはできませんでした。
しかし、普段からトレーニングしていれば、その衰えをカバーすることはある程度できます。
それは、一流選手がそのパフォーマンスを維持する・・・・と言うよりは、一般の方がある程度のレベルをトレーニングにより維持する方が、より簡単にそのレベルを維持できるのは言うまでもありません。
いや、むしろ、どんな年齢の方でも、普段トレーニングをしていない方が運動習慣が身につくと、今まで以上の身体レベルに上がることも当然のことのように起きるものです。
筋トレしていなかったご高齢の方が、筋トレにより筋肉が大きくなった・・生活の質が向上したと言う例は枚挙にいとまがありません。
なので「もう歳だから・・」と諦めず、思い立ったらどんな運動でも構わないので、身体を動かす習慣をつけた方がいいに決まっています。
しかし、スポーツをしている・・・そして一般レベルよりはもうちょっと頑張っているレベルの人が、加齢による衰えと、トレーニングによる効果の相対効果はどうなのだろう?
そんな事を思った方もいるのではないでしょうか?
今日はマスターズクラスの選手を例に出して、その辺についてお話ししたいと思います。
(参考文献 NSCA 全米ストレングス&コンディショニング協会
ストレングス&コンディショニングジャーナル 2019年 3月号)
加齢によってどれくらいパフォーマンスが落ちるのか?
2015年の国際自転車競技連合のトラック競技を見ると、男子マスターズ自転車トラックレース選手において、200mのスプリントタイムは30歳から59歳にかけて10年あたり約5.8%の低下が見られたそうです。
んー・・・やっばりある程度の低下は避けられないのかもしれません。
また、マスターズ自転車競技および、マスターズ陸上競技の短距離選手のスプリントパワーの低下も指摘されています。
- スプリントサイクルのパワー低下は40歳から65歳にかけて、10年あたり25.3%の低下
- スプリント走のパワーの低下も40歳から65歳にかけて10年あたり25.4%の低下
が見られたそうです。
んー・・・結構減りますね(TT)
ちなみにパワーとは、力×スピードのことで、単純な力やタイムのことを指しているわけではないのでそこは注意が必要です。
この原因としては
- 筋肉の量の低下
- クロスプリッジの動体の変化
- 神経活性化と低下
が挙げられます。
筋肉の量の低下とは主に、特にパワーを出す白筋群の断面積の低下が指摘されています。
クロスブリッジの動体の変化・・・
ちょっと難しくなりますが、筋肉の最小単位にアクチンとミオシンと言うものがあります。
これはまるで刀を鞘に入れるように細胞同士が伸長するのですが、その動きに変化が及ぶと思ってもらえればいいと思います。
神経活性化の低下は、筋肉は神経からの伝達により動くのですが、この伝達能力が低下してくると思ってもらえればいいと思います。
んー・・・やっばり色々低下しますね・・・
また別の研究では、スプリント走の最大パワーが10年あたり7.5%低下している選手の大腿の筋肉の量を測ると10年あたり5%の低下が見られており、パワーの低下と相関していることから筋肉の量の低下を原因とする根拠となっています。
そうなんです! ここでポイントなのは筋肉の量の低下なんです。
ここで問題になるのはマスターズクラスの選手がどれだけ本格的なウェイトトレーニングをしているのか?です。
おそらくですが、あまりしている方って少ないのではないでしょぅか?
プロではない・・そしてマスターズクラスというと年齢的に働き盛り世代でもあります。
そして、競技もしている・・・
すると競技練習の他にさらにジムで筋トレに時間をさける方がどれくらいいるのか?です。
実際にマスターズクラスの陸上競技選手に8週間の筋トレプログラムを処方した研究があります。
すると100mスプリント走のパフォーマンスや太ももの筋肉のピークトルク、筋肉量が優位に大きくなったそうです。
別の研究でも、20週間の筋トレを陸上競技のマスターズクラス選手に施したら、スクワットの1RM筋力やスクワットジャンプのピークパワーは優位に向上したそうです。
このことから、筋トレを適正に実施して筋肉の量を保つ・・・・
いや増えすこともできるのです!!
そしてそのことにより競技パフォーマンスの低下の防止や人によっては十分に向上すら見込めると思われます。
実際、僕のジムでもマスターズクラスの水泳の選手はたくさんいますが、筋トレを普段から適正に・・・
というよりがっつりやっている方はほとんどいません(^^;
たまにトレーニングジムに来てもなんとなくマシンをやって終わりみたいな感じなんですよね(^^;
実際のトレーニングの内容について
まず通常の練習とウェイトトレーニングをどのような割合で分けるのか?です
これは筋トレに関しては通常週に2回程度の実施とされることがお勧めとなります。
そして他のトレーニングとの兼ね合いですが、自転車競技を例にしてご紹介しましょぅ
- 月曜日 筋トレ
- 火曜日 ロードでの長距離回復サイクリング
- 水曜日 トラックトレーニング
- 木曜日 筋トレ
- 金曜日 休養
- 土曜日 ロードでの長距離回復サイクリング
- 日曜日 トラックトレーニング
※ロードでの長距離回復サイクリングは最大心拍数の50〜70%(回転数90〜110RPM/m)
といった感じです。
ポイントですが、強いスピードと負荷がかかるトラックトレーニングの前に筋トレが来ないように工夫することが大切です。
そのため筋トレはトラックトレーニングの次の日に配置をします。
また、長距離、トラックトレーニング、そして筋トレを週に2回づつに分けて、それらの「間」を設けることによって、それぞれで鍛えられる能力の超回復を起こす期間をしっかりと作ってあげることも大切です。
また、「マスターズ」という年齢がそれなりにいっているトレーニーの場合、回復がどうしても時間がかかる方が多いです。
したがって回復や休養にあてる日もそれなりにとる必要があります。
それぞれの能力に対して週に2回の異なる筋肉への刺激でも、中身がしっかりとしたトレーニングであるのならば、それぞれ競技能力はしっかり伸びてくれると考えて良いです。
次に具体的な筋トレの内容ですが詳しく種目を出すと
- 45度レッグブレス
- レッグカール
- スタンディングカーフレイズ
- ダンベルヒップフレクション
- チェストプレス
- ベントオーバーローイング
などが挙げられます。
これらは基本的に筋肉の肥大を目的とするトレーニングです
また、体幹トレーンニグとして
- プランク
- サイドプランク
- バックブリッジ
なども推奨です。
そして、この他に「機能的エクササイズ」の実施も推奨となります。
これらの種目は、筋肥大セッションの前のウォームアップとして取り入れることがお勧めになります。
機能的エクササイズの具体的な種目として
- クラブウォーク(腰を落として横に歩く)
- 軽いバーを使ったスクワット
- レッグランジ
- ルーマニアンデッドリフト
- 腕立てふせ
- シットアップ(膝を曲げて行う)
となります。
また、重さや回数セット数、さらに他のトレーニングとの繋がりに関しては試合までの時期によって様々に変わります。
トレーニングの漸進の仕方について
漸進とは、トレーニングの増やし方です。
具体的な手法として3:1負荷パラダイムというテクニックを使います。
1ヶ月単位での漸進
3:1負荷パラダイムとはどういうものかというと、1ヶ月のトレーニングを4週間に分けて考え、最初の3週間は徐々に1週ごとにトレーニング量を増やしていきます。
そして4週目は少しだけトレーニング量を軽くして、オーバートレーニングの防止、疲労の軽減を狙うというものです。

グラフにするとこうなります。
ちよっとわかりづらいかもしれませんが、左から3本目までのグラフは、1週ごとに徐々に上がっていき、4週目で少しグラフが低くなっているのがわかると思います。
そして5週目でまた上がっているのもわかると思います。
このグラフで分かると思いますが、4週目を軽くするといっても雰囲気的には「この程度」という事です。
がっつり休んで・・ということではないんですよね(^^;
もちろんがっつり休む時期も必要なのですが、それは年間計画の中で意識的にそういう時期を設定するものです。
このグラフはトレーニング期のものなので、軽くする程度はこれくらいとなっています。
1回のトレーニングの漸進
次にトレーニング自体の漸進の仕方ですが、これは「一般的な種目から徐々に専門的な種目にしていく」というやり方をぜひ頭に入れておいてもらいたいと思います。
どういうことかというと、例えば筋トレでは前のページで45度レッグプレスという種目を入れることをご紹介しました。
この45度レッグプレスに関しても、最初は両足で普通に行います。
次の段階としては、この45度レッグプレスを「片足」で行うというように種目の強度をあげていきます。
自転車競技や陸上などは基本「片足で踏ん張る力」を発揮するものです。
なので、普段の種目から、片足で力を発揮することに慣れていくことはとても大切です。
またさらに、最初は片足でゆっくりと行なっていた動作を「より素早く押す」というようにすると、より競技に近い力の発揮の仕方となり、競技に近いトレーニングになっていきます。
これは、レッグエクステンションや、レッグカールなどの一般的なトレーニングマシンの種目にも同じことが言えます。
他の種目で言えば、スクワットジャンプにしても、足を前後に開いて行うスプリットスクワットジャンプに変えていくと、やはり競技の形に近づいてきます。
筋トレは単純に重さや回数、セット数を3:1負荷パラダイムで増やしていくだけでなく、種目そのものをより競技に近い形に変えていくこともとても大切なことです。
色々書きましたが、よろしければご参考にしてください(^^)
ではでは!
