筋トレの生理学

筋トレ中の筋活動の違いを筋電図で解説してみた!

筋肉に意識を向けて筋トレ

皆さんこんにちは

パーソナルトレーナーの野上です

今日は早稲田大学大学院、人間化科学研究所の論文(ネットで公開されている)「代表的な筋力トレーニング種目における主働筋の 筋電図学的分析」を参考にご紹介したいと思います!

「ベンチプレス系 3 種目における大胸筋,前鋸筋および三角筋の筋電 図学的分析」

ここでいうベンチプレス系3種目とは、フラットベンチプレス、斜めに傾斜をつけ頭が上になるインクラインベンチプレス、斜めに傾斜をつけ頭が下になるデクラインベンチプレスの3種目を指します。

一般的には、

  • 胸の筋肉の真ん中を鍛えたかったらフラットベンチプレス、
  • 胸の上の筋肉を鍛えたかったらインクラインベンチプレス、
  • 胸の下を鍛えたかったらデクラインベンチプレスと言われています。

ぼくもそのように指導していますが・・・・果たしてどのような結果がこり論文からでているのかというと

・・・・・驚く結果が・・・・(^^;

なみに略語の説明ですが、DBPとはデクラインベンチプレス、FBPとはフラットベンチプレス、IBPとはインクラインベンチプレスのことを指しています。

結果

RMS値の基準化による比較から,大胸筋では鎖骨部と胸肋部ともに筋活動水準は

  • DBP≒FBP>IBP

であった.

えーっと、つまり、大胸筋の上部に関しては、デクラインベンチプレスがもっとも筋肉の活動が激しく、続いてフラットベンチプレス、最後にインクラインベンチプレスという結果が出たそうです!

・・・・・・なんですとーーーーーー!!!

実はこれ、他の研究者の方でも同じような結果が出ているそうなんです。

大胸筋鎖骨部の筋放電に関しては,Barnett et al.(1995)は,フラットベンチプレス,インクラインベンチプレス,デクラインベンチプレス間には差が見られなかったことを報告しているとの記述もこの論文にはあります。

いやー、実はこれ今までいろいろな書物を見てきましたが一番ショッキングでした!

というか、この論文内にも、大胸筋鎖骨部は上腕を前方にあげる働きがあることを認めつつ、筋放電では違う結果がでていると述べられています。

次に前鋸筋では

  • FBP≒IBP>DBPであり,DBP種目が最小の筋活動を示した.

前鋸筋とは胸の脇の方にある肋骨周辺の筋肉ですが、この筋肉も腕を前に押すという動作ではとても大切な働きをする筋肉なのです。

これがフラットのベンチとインクラインのベンチがデクラインより刺激が強いと言うのはわかる話です。

三角筋に関しては

  • IBP>FBP>DBP

の順となり,すなわち上体の傾斜角度が大きいプレス種目においてより筋活動が大きいことが示唆された

これは三角筋の中でも「前部」に電極をつけたそうで、肩に関してはインクラインベンチプレスがもっとも負荷がかかるという結果です。

これも皆さんの予想に照らしても、順当な結果なのではないでしょうか。

ちなみに、テストは、インクラインは角度60度、デクラインは角度マイナス30度で実験を行ったそうです。

そして、一つこの試験に大きくものを申したいことがあります!

これらのテストは全て、「スミスマシン」でのテストだということです(^^;

んー・・・・・残念感が半端ない・・・・・

ぼくは、うちのクラブのフリーウェイとスペースで長らくお客様から「野上さんスミスマシン入れてよー」とおねだりされても断固「パワーラックでインクラインベンチをした方が絶対にいいから!」と頑として受け付けななかったんです。

しかし、新マネージャーが「お客様の要望なので」といままでインクラインを行っていたパワーラックを撤去し、スミスマシンを入れたのですが・・・・

案の定みんなやってみたら・・「これは違う」と、インクラインを行う方がめっきり減ってしまい、結果ベンチプレスの伸びが全体的に鈍ってしまいました(TT)

もう、特に軌道が本来の人間の動きと違うので、正確に純粋なフリーウェイトトレーニングと比較してはいけないとぼくは思っています。

とくにその最たるのがインクラインで、はっきり言って「別のトレーニング」になってしまっている感すらあります。

インクラインにおける大胸筋上部の収縮はフィニッシュ付近で強く収縮するように感じているのですが、スミスマシンだとここがすっぽり軌道が違うので(身体に対して「下」のほうにフィニッシュの軌道がずれる」大胸筋上部にこのテストでは結果が伴わなかったのはわかる気がします。

ぜひ「正確なフリーウェイトトレーニング」でこの研究を再びしていただきたいなあというのが個人的な所感です。

みなさんも「スミスマシン」でトレーニングしている方も多いと思いますが、そういう方にはこの研究はとても有意義な結果が表れていると思うのですがいかがでしょうか?(^^)

ベンチプレス の手幅や種目による筋活動の違い

この論文は、手幅や姿勢の異なるフリーウェイト 5 種目,

  • ワイド・ベンチプレス(WB),
  • ナロー・ベンチプレス(NB),
  • インクライン・ベンチプレス (IB),
  • フロントプレス(シーティド)(FP)
  • バックプレス (シーティド)(BP)

において,三角筋と上腕三頭筋の筋活動を分析して比較検討し、それぞれの筋肉に筋電図をとりつけて結果を観察したものを論文として発表されたものです。

しかし、ここでいうワイドベンチプレスは上腕が床と水平の時に肘の角度が90度であるということから、一般的に考えられているワイドグリップのベンチプレスというよりノーマルのベンチプレスと思っていただいた方がいいと思います。

そしてもう結果からご紹介ですが、まず前部三角筋では

  • BP≒FP>IB>NB≒WB

の順番で、筋肉内の刺激が強かったそうです。

バックプレスとフロントプレスが1番はまだ分かるのですが、ワイドグリップのベンチプレスが意外と低いのにびっくりされる方もいるかもです。

しかし先ほど述べたようにノーマルのベンチプレスという観点でみればわりと納得できる方多いのではないでしょうか?

インクラインやナローより三角筋前部の刺激が少ないのは、トレーニングしている方なら主観的にいつも感じていると思います。

次に、中部三角筋では

  • BP≒FP>IB≒NB≒WB

の順番で刺激が強く得られるそうです。

これは前部三角筋と同様にBPやFP種目,すなわち垂直姿勢で行うプレス種目がより効果的であると結論づけられています。

ショルダープレス系やインクライン系の種目が、フラットで行うより肩の筋肉に効くということが証明されています!

これは一般的な筋トレ本通りの結果といえるでしょう!

そして、

  • 後部三角筋や上腕三頭筋に関しては,特に種目間での差異は認められなかった

ということが報告されています。

んー、これはびっくりです!

上腕三頭筋に効かせたかったら、ナローのベンチプレスが通用しなくなっちゃいます!

僕も指導内容を考えないといけないです(汗)

さらに、

  • 各筋ともにバーベル下降局面に比べてバーベル上昇局面において高い数 値を示す傾向が見られたが,特に前部三角筋においてその傾向が強かった

・・・ということなのです。

これは筋トレ全般にいえる一般的な「筋肉が伸ばされる(主にウェイトを下ろす局面)時の方が、筋肉には強い負荷がかかり、筋肉痛もそういう刺激の入り方をした時の方が出やすい」という定説がありますが、これを裏付ける結果であるとも言えます。

最後に、

  • 前部三角筋はバーベル上昇局面の最終段階において数値の低下が見られたが,上腕三頭筋や中部三角筋にはこれと逆の傾向が認められた

・・・との結論があります。

僕はよくお客様にベンチプレスの押し上げる段階で、胸から15cmくらいまでは胸に一番刺激が入り、15cmからフィニッシュ付近まで(主にスティッキングポイントと言われるところ)は、肩の負担が強く、最後のフィニッシュ局面では上腕三頭筋に負荷がかるといっています。

それをある程度裏付ける実験結果といえます・・・・ホッ(^^)

「スクワット」と「デッドリフト」で使われる筋肉の違いについて

まず筋トレには「ビック3」といわれる「超」基本の種目が存在します。

「ベンチプレス」「デッドリフト」「スクワット」の3つです!

通常、胸、肩をベンチプレス、スクワットが下半身全般、デッドリフトが背中を鍛えるといわれています。

この3つの種目の使用重量をのばすことが筋トレにおいてまず最初の目標になる!といっても過言ではありません。

僕は、分割法といってお客様に筋トレを分割して行わせるときに、いつもデッドリフトとスクワットに関しては別々の日に処方するのではなく、同じカテゴリーに分類して配置をすることにしています。

そして基本デッドリフトは「脚」の日に組み込み、スクワットと交互に行わせるようにします。

つまりどちらかを行ったら、その日はどちらかは行わず次のルーティンに行わなかった方を行わせるというものです。

なぜ背中の日に行わせないのかというと、分割法のレベルまできている方には、背中の基本種目は「ベントオーバーローイング」とマシントレの「ラットプルダウン」「シーテッドローイング」か「ケープルローイング」を主体に組むことが多いからです。

そしてなぜそのように組むのかというと、デッドリフトで使用される筋肉とスクワットで使用される筋肉に非常に共通な部分が多いからです。

確かにデッドリフトで背中は使われるのですが、その多くは「固有背筋」であることが多いのです。

そこから上の広背筋、僧帽筋をトレーニングする際は、デッドリフトで高重量を使用するのも確かにいいのですが、より肩甲骨の可動域の大きいラットプルダウンやベントオーバーローイングといった種目をぼくは(個人的に)チョイスするようにしています。

そこで肝心のスクワットとデッドリフトは、脚の筋肉に対しての負荷がそれぞれ変わるのか?

それとも僕が気にしているように同じなのか?ですが・・・

実際に、デッドリフト、スクワット、さらに、スティッフドデッドリフト、もう一つ、ベントオーバースクワット(しゃがみの浅いスクワット)で、各筋肉に筋電図をつけて比較した実験結果があります。

その結果からですが・・・・

筋電図による比較から、まず固有背筋と大殿筋では

  • 通常のスクワット=浅いスクワット=デッドリフト=スティッフドデッドリフトという関係が得られました。

つまり実施した 4 種目間に差は見られなかった・・・・ということです。

次に大腿直筋ですが・・・

  • スクワット>デッドリフト,浅い角度のデッドリフト,スティッフドデッドリフト

の順となります。

そして普通のスクワットがより高い筋活動を示したそうです!

つまり、太ももの前の筋肉を集中的に鍛えたい場合は普通のスクワットが有利ということになります!(^^)

大腿二頭筋では、

  • スティッフドデッドリフト>スクワット

の関係が見られたということです。

この場合のスティッフドデッドリフトに関しては膝の角度を深く曲げないタイプなので、より大腿二頭筋に効いたことが想像できます!

内側広筋では

  • スクワット>角度の浅いスクワット,デッドリフト,スティッフドデッドリフト

の順位関係が得られました。

そしてスクワットがより高い筋活動を示したということです。

フリーウエイトによるスクワット系とデッドリフト系の 4 種目において、

  • 普通のスクワットは大腿直筋と内側広筋に、
  • スティフレッグドデッドリフト種目は大腿二頭筋のトレーニングにそれぞれより有効な種目である

という結果になったそうです。

んー・・・・結果的に・・・

やっばり今後も僕の分割の仕方の指導に大きな影響を与えるほどの結果ではないように思います。

大腿直筋と内側広筋のためだけにスクワットとデッドリフトを別々の日に持ってくるのはちょっと考えものかなという感じがします。

まあ、この辺になるとトレーニー、トレーナーの個人の好みの範疇に入ってくると思いますが・・・(^^;

みなさんも自身のレペルとトレーニングサイクルに照らし合わせてみてください!

いろいろ書きましたがよろしければご参考にしてください

ではでは!

関連YouTube動画 腕立てVSベンチプレス 同じ重さで筋肉への刺激に違いはあるのか? 筋電図編

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