試合前の筋トレは何日前までに止めるべきか?
皆さんこんにちは
パーソナルトレーナーの野上です
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今日のテーマは試合直前の調整・・・
いわゆる「テーパリング」というやつです(^^)
ちなみにこの「テーパリング」とは、鉛筆などを「削って尖らせいく」ような様子を表す単語です。
文字通り、試合に向けてコンディショニングしてき、疲労は残さず、今まで練習してきた能力は研ぎ澄まして試合に望むようにする期間のことです。
しかし、案外この時期のトレーニングをどうしたらいいのか?と迷う方がかなりいると思います。
今日はこのテーパリングについて色々とお話したいと思います。
まずみなさんとのやりとりからご紹介したいと思います。
やりとり その1

普段週3回競技の練習をして、週2回トレーニングをしている場合、試合10日前からトレーニングを0にして週3回の練習のみでも試合で高い力をを発揮できるでしょうか?
ブログの内容の競技者は更に高頻度で競技練習をしているのではと気になり質問いたしまきた。


お忙しいところご回答いただきありがとうございます。
今後も参考にさせていただきます!
やりとり その2


というものでした。
やりとり その3


しかし低回数、低セットで疲労は残さないようにトレーニングすることをお勧めいたします(^^)

10日前くらいからは軽めに調整って感じですかね?


というものでした。
「テーパリング」
日々部活で頑張っている・・・という方もたくさんいらっしゃると思います。
そして、そのような方々の中には、ウェィトトレーニングも併用して行っている方もたくさんいらっしゃるでしょう。
そしてそういった方々の中には試合が控えて、ウェィトトレーニングと普段の練習をどう調整していったらいいのか?という事について、悩んでいる方もいらっしゃると思います。
今日はその点について色々とお話ししたいと思います。
冒頭で述べましたが、試合に向けて調整していくことを「テーパリング」と言います。
例えば、ダッシュでも全力でダッシュはするものの、本数を少なくするとか、ジャンプでもデブスジャンプのような高強度のジャンプトレは行うものの、回数を少なくするとかです。
(デブスジャンプとは、ボックスから飛び降りて着地してすぐにジャンプする高強度なジャンプトレーニングのことです)
テーパリングの基本
まず、テーパリングの最も大事な基本は「疲労は残さない」という点です。
次に大切なのは「能力も落とさない」という点です。
この二つを両立させるのが、結構悩ましいところでもあります。
疲労を残さないためには、当然練習量を少なくしていく必要があります。
ただ、しばらくトレーニングしていないと、久々に同じメニューをやろうとすると、同じ負荷でトレーニングしてもやたらと重く感じたり身体にキレがなかったりするのはよくある話です。
大切なのは「トレーニングしながらいかに疲労を抜いていくのか?」です!
試合に向けてのテーパリングの基本は、
- 重量(負荷)は重く
- 回数やセット数を少なくしていく
ことが基本です。
これと真逆なのが、
- 量はキープ
- 負荷を軽くする
ことです。
よく、回数やセット数はそのまま負荷を軽くして、余裕を持たせようとする方がいますが、それはいけません。
簡単にいうと「質」はそのままにして「量」を減らしていくのです。
具体的には、普段使用している重量に関してはキープをするものの、挙上する回数を少なくしていったり、セット数を少なくしていきます。
普段から、ウェィトトレーニングに慣れている方なら、これだけでも筋肉に対する疲労をとても少なくしていくことができます。
また、実はウェィトトレーニングに限らず、他の部分でもこれは同じです。
他の分野のトレーニング・・
例えば瞬発力系のトレーニングや、アジリティ系のトレーニングでも全く同じです。
長距離系の種目に関しても、同様のことが言えます。
つまり「質」・・・この場合スピードになりますが、スピードはそのまま、走る「量」を調整して疲労を抜いていくのです。
テーパリングは「質」を落としてしまうと、いざ試合の時にその「質」を出そうとしても、なかなかでづらくなってしまうものです。
逆に「質」はそのまま「量」だけ落として調整していけば、質の低下は最小限で、疲労のみ抜いていけます。
最後に「質」は落とさないと言いましたが、この「質」には色々な側面があります。
ボールゲームや相手がいる場合などは、その試合に特化した「作戦」をこなす練習などは、その試合に勝つためには、まさに「質」の極致と言えるトレーニングでしょう。
こういう時にウェィトトレーニング なんかをやるよりは、よほどそういう練習に時間を割いた方が勝てる確率は高くなるはずです。
試合直前の過ごし方は、そのまま試合のパフォーマンスを決定づける大事な時期です。
普段のトレーニングの成果を十分に試合で発揮するためにも、ぜひ効率的に調整をするようにしてください(^^)
ウェイトトレーニングは試合の何日前まで行っていいのか?
一般的なスポーツの試合であれば10日前くらいにストップした方が良いです。
これは、バスケやサッカー、格闘技のような、キレやスピード、筋力を総合的に発揮しなければならないスポーツでのテーパリングの基本です。
日本トレーニング指導者協会で行われたセミナーで、
- 10日間ウェィトトレーニング を試合直前でやらないようにした場合、試合でのトータルのパフォーマンスがとても上がった
という趣旨の内容を聞いたことがあります。
JATI(日本トレーニング指導協会)
JATI(Japan Association of Training Instructor)とは「日本トレーニング指導者協会」のことで、国内のトレーナーのための組織です(JATI公式サイト)。
これくらいで(10日前)ストップした方が体のキレも含めて、最もバフォーマンスが上がったそうです。
ちょうど疲労とパフォーマンスのバランスポイントが良かったのでしょう。
また、一般的でない・・
つまりウェィトリフテイングやベンチプレス の大会ということであれば、もう少しだけ直近までトレーニングをしていた方がいいと思います。
こういう場合は、普段のトレーニングルーティン通りに行っていきつつ、1〜2日くらい余裕を持つくらいが無難かなと思います。
あまり普段のルーティンより空いてしまうといざバーベルを持った時に重く感じてしまう事があり、そうなると色々とまずいです(^^;
例えば普段から胸のトレーニングを中4日とかでやっているのなら、中5日開ける程度にし、さらに直前のトレーニングの「回数だけ」を少し軽くするくらいでいいと思います。
試合に向けての調整は色々とありますが、基本を押さえておくことはとても大切です。
試合に向けての年間計画
試合に向けてトレーニングを進める場合に、年間を通して見た場合ある程度のセオリーというか順番があります。
一般的には「休息期」「準備期」「試合期」といったように言われることが多いです。
準備期のトレーニング
準備期の初期は、
- 回数は多く、
- 重量は軽く、
- セット数はそこそこ
・・・・といった感じで体をトレーニングにならす事が主眼となります。
この時期の目的は「身体慣らし」です。
そこから徐々に
- 重量は重く、
- 回数は中程度・・・この場合6回〜12回ギリギリ上がる重さに設定する・・・
- セット数は3〜5セット、
- セット間インターバルは90秒程度
に設定します。
この時期の主眼は「筋肉を作る」ことに置かれます。
もちろん、ある一箇所だけの筋肉をやるのではなく「全身万遍なく」トレーニングを実施します。
そしてスポーツである以上、もちろん筋肉だけ作っているだけではだめで、瞬発力や敏捷性、スピードトレーニングも「筋トレと同じボリュームくらい」取り入れます。
これら瞬発力、敏捷性、スピードトレーニングも、初期は低強度のものを中心に行いますが、筋トレが「筋肉を作る」時期になったら、これらのトレーニングの強度も、中強度のものをどんどん取り入れる時期になります。
また、当然、技術練習や、球技などでは戦術トレーニングもありますが、この時期はまだ比較的基礎的な技術習得に力を入れたほうがいいでしょう。(新しい技術を取り入れる練習等)
なのでゲーム形式の練習などは少なめになります。
試合期のトレーニング
そしてここから、徐々にウエイトトレーニングに関しては、高重量、低回数、になっていきます。
また、セット間のインターバルは3分ほどまで伸ばし、十分に筋肉に休息を与えて高重量を扱えるようにします。
セット数は最初は多く・・・・メインセットで5〜7セットくらいに設定し、徐々に試合が近くなるにつれ少なくします。
また、瞬発力、敏捷性、スピードトレーニングも徐々に高強度にします。
これも筋トレと考え方は同じで、高強度、長インターバル、セット数は最初多く、徐々に少なくになります。
また、ここで筋トレや瞬発力、敏捷性、スピードトレーニングに関しては、「競技の特性に合った動作に近い形のものを取り入れる」事が大事です。
例えばバーベルのベンチプレスから、ダンベルでひねりを入れたダンベルプレスに種目を変える・・などです。
基礎的な筋トレで作った筋肉を「速く」「強く」そして「競技の動作にあうように」動かすためにチューニングをしていくのです。
トレーニングの目的を「量」から「質」に変化させていく・・・という感じで捉えてもらえればいいと思います。
そして、量が少なくなった分を、戦術練習や、新しい技術を実践に活かせるような実践的な練習時間に当てていく・・・という寸法になります。
次は具体的なトレーニングの減らし方を紹介します。
具体的なトレーニングの「変遷の仕方」&「減らし方」
例えば、ベンチプレスに例えて言えば、筋肉を作る時期は
- 60Kg×10回
- 70kg×10回 アップ2セット
ここからメインセット
- 80kg×8回
- 85kg×6回×3セット
- 80kg×6回〜8回×2セット
- メイン合計6セット 90秒インターバル
から、筋肉の出力を高める時期は
- 60Kg×10回
- 70kg×10回 アップ2セット
ここからメインセット
- 85kg×6回
- 90kg×1〜3回×3〜4セット
- 85kg×6回×2セット
- メインセット合計5〜7セット 3分インターバル
のようになり、最後テーパリング(調整期) は
- 60Kg×10回
- 70kg×10回 アップ2セット
ここからメインセット
- 85kg×6回
- 90kg×1〜3回×2〜3セット(試合直前は1〜2セット)
- メインセット合計 3〜4セット 3〜4分インターバル
という感じです。
お分かりいただけるでしょうか?
重量を上げていくときはアップは怪我の防止の為、あまり削らず、重量を下げて追い込むようなセット(科学的代謝ストレスをかけるセットと言う)をカットし、トレーニングの全体量を減らすのです。
瞬発系やスピードトレーニングも考え方は同様です。
筋トレを疲れを残さないために「やらなく」調整してしまう・・・とせっかく高めたパワーが、肝心の試合の時に低くなってしまう可能性があります。
他のトレーニングも同様です。
なので、「質は高く」疲れを残さないように「量は少なく」、しかし怪我をしないようにアップは怠らない・・・
そんな感じで調整していただけると、トレーニングで培ったものが試合で生かされやすくなるように調整ができます。
まあ、これはざっくりとした概念で、実際にはスポーツによって(短距離系、長距離系)でいろいろと変わってきたりする部分もあります。
あくまで一例としてよろしければぜひご参考にしてください(^^)
よろしければご参考にして下さいね(^^)
ではでは!!
PS
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