皆さんこんにちは!
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「スピードの科学 速く走りたければ腿を上げるのも、後ろに大きく蹴るのもダメ!」について、というテーマでお届けしたいと思います。
速く走りてえ!!
そんな方・・・・多いですよね(^^)
そのためのドリルとして、腿上げしている方多いと思います。
また、後方へのキック力を強くするためにジャンプ系のドリルをしている方も多いでしょう!
それらのトレーニング自体は問題ないのですが・・・
速く走ろうとした時に、腿を高くあげて大きなストライドで走ろう!とする方いらっしゃいますでしょうか?
意識的には、これは間違っています!
腿を上げるのも、後ろに大きく蹴るのもダメ!
そして、できるだけ強く後方にキックしよう!とする方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これも間違っています!
いやいやいや、ボルトの走り見ていると、めっちゃ腿上がってんじゃん!
そんなんじゃ、ストライドが小さくなってちょこちょこした走りになってタイム出るわけないじゃん!
なんて思われる方も多いと思いますが・・・・・
えーっと・・・その考えは間違っているんです!(^^;
太腿や足は「結果的には上がっている」のかもしれませんが、意識的にはむしろ「身体の真下に踏みつけるように走る」のが正解です。
解説していきましょう!
かの有名なカールルイスのコーチをした、トム・テレツという方が、日本のスプリンターのコーチングクリニックをした時の資料からです。
トムテレさんに日本のスブリンターのどこがダメなのか?を尋ねたところ・・
フィジカルが弱い? 筋トレしていないから?
じゃなくて意外にも「フォームの悪さ」を指摘したそうです。
そしてトム・テレツ氏は「とにかく日本人のスプリンターは「ターンオーバーしていない」という事と「足を真下に踏みつける重要性」の2点を強調したそうです!
ターンオーバー
ターンオーバー?・・・・なんですか?それ?ですよね(^^;
ちょっと考えて見てください!
腿を高くあげて、足を前方に振り上げようとすると・・・
つま先も当然ある程度高い位置まで上がってから大きくカープを描いて足を手前に引きながら着地しますよね。
そして、後方へのキックも「足を力強く蹴ってそのまま膝を曲げると、足先は後方に跳ね上がるように大きなカープを描いて」から、膝を曲げてたたまれていきますよね。
そう・・・「大きくカープをしながら」です。
この「大きなカープ」が「無駄」なんです!
ちなみに当時の世界クラスのスプリンターの足にセンサーをつけて、日本人のランナーと比較したら・・・・
世界のトップスプリンター(カールルイスも含まれる)のつま先は「低く」出され、そこから「急にUターン」して着地していることがわかりました。
高く上がっていないんです!
後ろのキックもそうで、つま先は「低く」でたあと「急にUターン」して前方に運ばれていたそうです。
日本人の足のつま先のカーブと足全体の「重心点」のカーブは、横から見ると「円」に近い形をしているのに対して・・・
当時の世界のトップスプリンターは「横に細長い「楕円」」の形をしていたそうです。
この前と後ろの「低く出て急にUターン」させることをターンオーバーと表現していたんですね(^^)
つまり・・・そう、「足が無駄な距離の軌道を描いていない」ことが理想なんです。
速く走りたければ足を前に振り出さない! 手前にも引かない!
僕は中学時代実は陸上部だったのですが、普段のドリル練習に、今でいう「Aマーチ」「Aスキップ」「Bマーチ」「Bスキップ」というトレーニングドリルを必ず日課のように行なっていました。
簡単に言えば、腿上げをしながら歩いたりスキップをしたり、腿を上げてからひざ下を前方に振り出したりしながら歩いたりスキップしたりするドリルです。
特に僕がBマーチ、そしてBスキップをするときは
- 足はできるでけ前方に「振りだす」
- 足を下ろすときはできるだけ素早く「足を引くようにして下ろす」
と指導を受けたものです。
これらのドリルを動的な準備体操として行うことはとても良いことです。
・・・・しかし・・・・
時にこのBスキップのドリルの意識をそのままトップスピード時のランニングフォームに持ち込むことは間違っています!
いやいやいや、じゃあ何のためにBスキップのドリルやってんだよ!
と思われるかもですが、もう一度言いますが準備体操として行うことはとても良いことです(^^)
「トップスピード時」に意識の中でそういうことを意識して走るのが間違っているのです。
意識的には「前に振りだす」のではなく、先ほども述べましたがむしろ「身体の真下に踏みつけるように走る」のが正解です。
足を前に振りだして「手前に足を引く」意識は「足の後方への推進力を稼ごう」という意識の表れだと思われます。
しかし、この足を前に出して手前に引くように意識すると、どうしても「足は前方へ高く」上がり、その後盛大に「足を手前に引き寄せる」動作をするために足が無駄に大きなカーブを描くというフォームになります。
この事例を京都大学 小田 伸午さん (人間環境学博士)は「原因と結果の法則」と言って説明しています。
「真下に踏みつける」という感覚的イメージを「原因」として入力すれば、身体は素早いスイングという「結果」を出してくれます。
結果であるはずの後方スイングを速くしよう!と足を引き戻すようなイメージを入力すると、かえって「結果的に後方スイングは速くならない」
ということです。
さらに「後ろに蹴らない」
ホワッツジャパニーズビーポー!!(by 厚切りジェイソン 古い?(^^; )
・・・・な気分ではないでしょうか?(^^;
いやいや、ほんとどうすりゃいいんだよ・・・
て言うか、それこそ速く走れねえだろ!とツッコミが来そうですが・・・・
論より証拠で行きましょう!
世界陸上100m銀メダリストのリロイバレル選手の用具契約メーカーが、みなさんご存知「アシックス」だったそうです。
そのアシックスでリロイバレル選手の走行中に地面を蹴る強さを色々測定し、公表した数値があります。
それがこれです。
わかりますでしょうか?
上の足の図の下の矢印の方向と長さが、力の入っている方向と強さを表します。
下のイラストは上のイラストとリンクしていて走行中のどのフォームの時かを表しています。
どうでしょう?
足を後ろに蹴る動作の際ほとんど地面を後ろに蹴っていないことがお分かりいただけているのではないでしょうか?(^^)
蹴っている・・・というより「流れている」くらいの方が正確な表現だと思います。
ちなみにこれは40mほど助走したあとのほぼトップスピード時の計測値だそうです。
「足は下に踏む」といった意味もわかりますよね?
トップレベルの選手はトップスピードに乗っている時に地面に最も力を入れているのは「後方へ」ではなく「下」であることが、これを見るとよくわかると思います。
日本のかつてのトップアスリート、朝原宣治選手は「要は一歩一歩きっちり接地できるかどうか?であり、「蹴る」ではなく、地面をトントンと「押す」感じ、いや、「乗る」といったほうが適切かなあ・・」と述べています。
「スポーツ名勝負物語」より
カール・ルイスのコーチ、テレツコーチによると、
- 胸・腕などの上体はリラックスさせる
- 接地面で地面をとらえ、その反動で脚が上に上がってくる
- 上がって来たあと地面を踏みつけることを意識する
- 腿を高く上げすぎたり上体を反らせたりしない
- 脚を前に振り出したりしない
- 足部を下に踏みつける、地面を踏みつけることに特に注意する
と述べています。
さらにこれらができたら「腕振り」をつけて行います(^^)
速く走りてえ!!
色々書きましたが、そんな方はよろしければご参考にして下さい(^^)
ではでは(^^)