筋トレの生理学

ベンチプレス手幅やスクワット足幅・懸垂グリップ幅で筋肉活動はどう違う?

ベンチプレスの手幅

ベンチプレスの手幅やスクワットの足幅・懸垂のグリップの幅で筋肉の活動に違いがある?

皆さんこんにちは!

パーソナルトレーナー野上です

今日は「ベンチプレスの手幅」や「スクワットの足幅」についてそれぞれ筋肉の活動に違いがあるのか?

さらに「懸垂はグリップの「幅」「向き」で背中の筋肉への効き方が変わるのか?」についてお話ししていきたいと思います。

ちょっと筋トレに詳しい方なら、こういうことを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

  • ベンチプレスで胸の筋肉を鍛えたかったら、手幅は広くしたほうがいい
  • ベンチプレスで上腕三頭筋を鍛えたかったら、手幅は狭くしたほうがいい

・・・と(^^)

足で言えば

  • スクワットでお尻の筋肉を鍛えたかったらのスタンスは広く、つま先を外に向けたほうがいい

といった具合に、手幅と足幅のスタンスの幅によって、効かせられる場所が変わってくるということは、数ある筋トレ本でもよく書かれていることですよね(^^)

でも、それってどんだけ効くの?・・

というところまで書かれているものってほとんどないと思います(^^;

スクワットの足幅による筋活動の違い

バックスクワットのバリエーションにおける下肢の筋肉の活動を調査した研究によると、

  • ナロウスタンスでのスクワットよりもワイドスタンスのスクワットの方が、大臀筋・・・つまりお尻の筋肉の筋活動が、297%も大きかった!

ということが報告されています!

しかし、それ以外の下肢の他の筋肉の活動には有意な差は認められなかったそうです。

次にこれはまあ当たり前だと思いますが、スクワットに関しては、

  • 股関節の屈曲角度が45度、90度、125度のスクワットでは、深く行った方が大臀筋は優位に活動が盛んになった

さらに、スタンスの幅、深さに関係なく、つま先の向きが、30~40度内側に向いた時と、平行、さらに80度外側に向いた時の筋肉の活動を比較したデータがあります。

それによると

  • 大腿部の主要筋肉(大腿直筋、内側広筋、外側広筋、長内転筋、半膜様筋、半健様筋、大腿二頭筋)の筋肉の活動に「顕著な影響を及ぼさなかった」

と報告されています。

これは、わりと意外ですよね・・・とくにつま先の向きは外側に向けると内転筋に効く・・・というのが一般的な解釈なので・・・

ベンチプレスの手幅による筋活動の違い

まず

  • フラットベンチプレスでは、ナローグリップとワイドグリップの比較では、ナローグリップの方が上腕三頭筋の筋肉の活動が高い

という結果がでています。

意外なのは、

  • 大胸筋の鎖骨部・・・つまり胸の上部もナローグリップの方が活動が高いという結果がでている

という点です。

そして、

  • グリップ幅の差による、胸の筋肉の活動は、せいぜい±5%以内の差で、おおきな差は見られなかった

ようです。

んー、これは、もうちょっと差があるかなと思っていましたが意外でした(^^)

懸垂はグリップの「幅」「向き」で背中の筋肉への効き方が変わるのか?

まず、背中のトレーニングの基本ですが、これは「引く」動作が背中のトレーニングの基本動作となります。

もう一つ、背中のトレーニングの目的は主に二つあります。

一つは「広がり」、もう一つは「厚み」を増やことがトレーニングの目的です。

広がりとは、いわゆる「逆三角形」の体型のもっともポイントとなる部分ですね(^^)

そして、この背中の筋肉の「広がり」のトレーニングの代表種目が「懸垂」もしくは「ラットプルプルダウン」という上からバーを引くトレーニングになります。

ここでボディビルのトレーニングなどに馴染みがない方にはちょっとピントこないかもしれませんが、この背中のトレーニング・・・

ラットプルダウンや懸垂は「グリップの幅や向きで、背中の筋肉に効く場所が変わる!」ということがよく言われています。

まあ、確かに変わるといえばかわるだろう、そりゃ手幅や向きが違えばトレーニングしてたって力の入り方が全然違うし・・・・

と大抵の方は感覚的には感じると思います。

そこを研究したデータがあるのです

まず、懸垂では、

  • 手幅が「肩幅の「逆手」」と「同じ手幅の「順手」」では、「順手の方」が僧帽筋下部と棘下筋の筋肉の活動は大きい

という結果が出ています。そして

  • 大胸筋と上腕二頭筋に関しては、「逆手」の方が筋肉の活動は大きいという結果が出ています。

(大胸筋の運動じゃないですが・・・・)

広背筋に関しては、・・・

  • パーフェクトプルアップという360度回転するグリップがあるのですが、これを使ってスタートポジションを順手、フィニッシュでは逆手になるようにトレーニングをしたやり方が、すべてのポジションの中で一番筋肉の活動が激しかった

そうです。

いやいや、そんなグリップないから、順手と逆手では肝心の広背筋にはどちらが効くの?

と言われそうですが(^^;、

これ懸垂での実験では、僕の手元にある資料には比較されていないんです(泣)

しかし、同じようなトレーニング・・・ラットプルダウンにはありました!

これによると、

  • 順手の方が広背筋への筋活動は激しい

という報告があります。しかし一方、別の10RMラットプルダウンテストでは、

  • 順手も逆手も広背筋や上腕二頭筋における筋肉の活動には差が出なかった

という報告もあるようです

・・・んー、やや、順手の方が広背筋へのトレーニングとしてはいいのか?という程度の感じですね・・・

もう一つ蛇足ですが、懸垂やラットプルダウンは背中だけでなく、肩の後部の筋肉のトレーニングにもなります。

とても興味深いことに、

  • どのグリップの向きでも三角筋の後部では、筋肉の活動には差が見られなかった

という報告があります。へー、そうなんだって感じですよね(^^;

もう一つ、ラットプルダウンという種目はトレーニングの現場では順手で行う場合はほとんどワイドグリップ・・・・

いわゆる肩幅より広いグリップ幅で持たれることがほとんどです。

逆手で行う場合はナローグリップ・・・つまり狭く持つことがこれもほとんどです。

で、今回の一番の衝撃は、なんとこれを筋電図で比較した結果があるのですが、

  • 上腕二頭筋と広背筋はこの両者ではいかなる差も見つけられなかった

・・・という報告があります。

まじで?という感じの方も多いと思います。

なんと広背筋の筋肉の活動が最大だったのは、マシンでいうシーテッドロウ・・・つまり正面から引いて、肩甲骨を内転させた時に負荷をかけるトレーニングだったそうです!

また、ラットプルダウンは顔の前に引く「フロントネックプルダウン」と頭の後ろに引く「ビハインドネックプルダウン」という種目があります。

ワイドグリップのフロントネックプロダウンと、標準的なグリップ幅のビハインドネックプロダウンとでは、

  • フロントネックプロダウンの方が広背筋、三角筋の後部とも筋肉の活動は激しい

という結果がでています。

まあビハインドで引く場合は手幅はやや狭くするので妥当な比較だと思います。

今回のデータは、NSCAストレングス&コンディショニングジャーナル2015年3月号のデータを抜粋して、ご紹介させていただいております。

NSCA全米ストレング&コンディショニング協会

色々書きましたがよろしければご参考に(^^)

ではでは!!!

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