体幹トレと腰痛予防
皆さんこんにちは!
パーソナルトレーナーの野上です
今日は「体幹トレーニングが腰痛を予防するのか?」というテーマで書きたいと思います。
よく言われませんか?
腰痛「予防」のために体幹を鍛えなさい!・・・・と(^^)
実はこれもいろいろな機関で、本当にそうなのか?という因果関係を研究しているらしいのてす・・・
まず結果を先に言います
今日はまず結果から言いたいと思います。
これ実は「よくわかっていない」というのが本当のところなようです。
非常に歯切れの悪い答えで申し訳ないのですが、事実なのでしょうがないです。
どういうことかというと、結果がいろいろな研究ごとに結果がいろいろ矛盾しまくっているらしいのです。
そもそも「腰痛」と一言で言っていますが、その原因は様々で、
- 筋筋膜性腰痛、
- ヘルニア、
- 狭窄症、
- すべり症、
- 分離症
と、さまざまな腰痛があります。
これらを全て「予防する」という観点そのものに無理があるのです。
まず、原因のはっきりしている腰痛はともかく、筋筋膜性腰痛に代表される「非特異的腰痛」は、原因そのものが不明であることが多いです。
原因が不明なのに、その原因に体幹トレーニングが有効である・・・・
ってちょっといろいろ矛盾しちゃうんですよね(^^;
では原因に直接訴求しなくても、結果から導き出せば因果関係がはっきりするのでは?と思う方もいると思いますが・・・
そもそも「予防」というからには「痛みがでない」ことが結果です。
痛みがでない結果が「本当に体幹トレーニングを行った結果から」なのか「他にもっと原因がある」のか?
はたまた「その人は、そもそも何もしなくても痛みなんかでなかった」んじゃないのか?という感じで、直接的な関係が調べようにも調べられないと問題があるのです。
ま、そりゃそうですよね(^^;
ちなみに、体幹トレーニングが腰痛を本当に予防するのであれば、体幹のパフォーマンスと腰痛の発生率の間に統計学的な関連が存在するはずです。
Balagueという方がこれを研究した結果、
- 体幹の筋肉のパフォーマンス(最大等尺性/等速性屈曲、側屈、回旋筋力テストによって測定)と腰痛の間に関連性を見出すことはできなかった
そうです。
もう一つ、体幹の筋力不足が腰痛を招くのであれば、体幹トレーニングをめちゃくちゃ行い、体幹の筋力が疲弊してしまう状態を作ることは腰痛をかえって招いてしまう原因になることも考えられます。
もちろん、体幹トレーニングが腰痛の予防にまったく関係がないとも言えず、研究の中には予防に効果的だったという結果がでているものもあるようです。
しかし、効果がなかったという結果もあり、要するに「いろいろな研究結果が矛盾している」というのが実情です。
次は「予防」ではなく「治療」ではどうなのか?と言う点を色々とご紹介したいと思います。
腰痛の「治療」になると話は別になってきます
「予防」とは痛みが出ないことが結果なので体幹トレーニングが本当に予防の直接的原因だったのか・・
もしかしたらその人は何もしなくても痛みがでなかったのか?・・・・
そう言う線引きがとても曖昧になる側面があります。
しかし「治療」となると、「痛みが出なくなる」という明らかな「変化」が結果として現れます。
したがって体幹トレーニングをしたグループとそうでなかったグループにわけて研究し、結果を比較することにより、体幹トレーニングの効果が本当にあったのかどうか?という線引きが予防の時よりはるかにわかりやすくなります。
そして、
- いろいろな研究の結果、体幹トレーニングは腰痛の治療には効果がある!
という結果が多数報告されています。
おおっ! 素晴らしい!(^^)
また、腰痛の方とそうでない方との間には筋肉の活動パターンに異なりが見られるそうです。
どういうことかというと、
- 2時間の立位での作業をした後に腰痛を訴えた方は、中臀筋と体幹の屈曲/伸展の活動パターンが、腰痛を訴えなかった方と異なる
そうです。
体幹トレーニングはこの活動パターンを腰痛がでなかった方の筋肉活動パターンに近づけられる可能性があります。
また、プランクのような静的体幹トレーニングと腰部の筋トレだけが腰痛の方への有効なエクササイズではありません。
腰痛を訴える対照群に、16週間にわたって、週に3回、11のバーベル・ダンベル・マシン・自重を用いた筋トレを実施したグルループ、有酸素トレーニングを週に3回、1回20~35分間行ったグループを比較した結果・・・・
- なにもしなかったグループより、有酸素運動をしたグループの方が痛み、障害、生活の質において優位に大きな改善がみられた
- 筋トレのグループは有酸素運動のグループより大きな改善がみられた
という研究結果があります!
ただし、これらは筋肉性の慢性的な腰痛に対してであり、ヘルニアなどの骨が原因の腰痛の研究ではなさそうなのでその点は要注意です!
ただし、少なくとも筋・筋膜性腰痛系の腰痛の治療に各トレーニングが有効なのであれば、僕は少なくとも「腰痛の予防」にも、その効果はそれぞれ繋がっていると考えるのが自然なのではないかと思っております。
実際に僕がトレーニングを処方した方でも、動的な体幹トレーニングを行った方が「腰の痛みがでにくくなった」というお声をいただくことはよくある話です。
そういう意味では体幹トレーニングは、意味のないものとは僕は思っていません!
スポーツのパフォーマンスにおいても、体幹のパワーが必要なスポーツシーンというのは少なからずあると思っています。
必要以上に「体幹トレ」に期待を寄せるのは、ちょっと危険だとは思いますが、それでも最低限の筋力は少なからず必要です。
ぜひプランクのような静的体幹トレーニングと、シットアップのような動的体幹トレーニングも両方バランスよく取り入れていただきたいと思います!
関連YouTube動画 体幹トレーニングは腰痛に本当に効果があるのか?
体幹トレーニングと腰椎の安定性について
最後にプランクのような体幹トレーニングと腰椎の安定性についてのエビデンスをご紹介したいと思います。
腰痛の方に体幹トレーニングを処方し、腰椎の安定性を強化することは、トレーニングの指導現場ではよく見られる風景です。
特に腰痛の場合は、その原因によって体幹部を屈曲させてはダメと言うケースもあれば、体幹部を反らしてはダメというケースもあります。
そのような中、静的体幹トレーニング・・・
つまり「プランク」のようなトレーニングは脊柱の角度の変化を伴わないため、どんな腰痛の方にも広くオススメできるエクササイズとなっています。
しかし、それら静的な体幹トレーニングが本当に腰椎の安定性を高めるのか?という疑問を持っているような方いませんか?(^^;
静的な体幹トレーニングが本当に腰椎の安定性を高めるのか?
そのような方々に対して静的な体幹トレーニングが、実際のスポーツの現場においてどのように腰椎の安定に寄与したか?に対しとある研究事例をご紹介したいと思います。
どのようなスポーツで研究したのかというと「水泳におけるドルフィンキック」です。
オリンビックなどで水泳を見たことのある方ならすぐにわかると思います。
ドルフィンキックとは飛び込んでから、水中を体幹部をクネクネと素早く曲げたり伸ばしたりしながらキックして行くあれです。
もう、一般の方には信じられないくらい、体幹部を高速で屈曲&伸展させているのを見たことがある方も多いと思います。
そしてあの動きだと、当然
- 腰椎にはとんでもない負荷がかかる
- 腰椎の安定性がとても重要である
というのは、一般の方にもわかりやすい動きだと思います。
大学に所属する競泳選手6人に対し十分なウォーミングアップ後、最大でドルフィンキックを行ってもらい、その時の動きを水中カメラでスーパースロー撮影をし、さらに2次元動作解析ソフトで解析を行ったそうです。
その際、第12胸椎、第3腰椎、第一仙椎の3点のマーカーから腰椎の角度を算出し、さらに動画から泳速も算出したそうです。
体幹トレーニングに関してはある一定期間行った結果というよりは、ドルフィンキックをした直後に体幹トレーニングを行い、そのあとにすぐまた泳ぐといった手法をとっています。

これは筋肉の活動レベルを上げて行う事でどれだけ腰椎の安定性が上がったのかを知る研究です。
結果としては、
- 介入前は、屈曲時の最大角度は169.5±7度の角度だったのに対し、介入後は173±6.9度
- 最小角度は介入前は139.9度±12.5度に対し、介入後は142.9±9度
だったそうです。
結果、トレーニング介入により伸展の角度は減少し、屈曲の角度が増えました。
しかし、動いている角度を見てみると29.6度対30.2度とそれほど変わらなかったそうです。
つまり、動いている「幅」は同じでも、動いている「領域」が、体幹を曲げる角度の方向に少しずれたということが言えると思います。
泳速に関しては変わらなかったそうです。
実験としては、人数が少ないことと、極端に優位な変化があったわけではないのですが、それでも腰を反らす方向へのストレスに関しては可動域を確保しつつ、少なからず抑制の効果があったと考えられる結果となっています。
筋肉の活動レベルを引き上げるだけでもこのように瞬時にある程度腰椎の安定度には貢献が見込める貴重な研究なのではと個人的に感じています。
腰椎の動きを安定化させたいという方は、ぜひ静的な体幹トレーニングを普段のトレーニングに盛り込んでもらえればと思います。
色々書きましたが、よろしければご参考にしてください(^^)
ではでは!
2019年 2月号 早稲田大学 スポーツ科学研究院 飯塚助教授
