身体の「バネ」のメカニズム
皆さんこんにちは!
パーソナルトレーナーの野上です
今回は「身体の「バネ」のメカニズム」についてというテーマでお届けしたいと思います。
パネ・・・・ジャンプ力はもちろん、ダッシュなどの走行シーンや、格闘技などすべてのスポーツに通ずるある意味最も大事な身体能力なのではないでしょうか?
どんなに力があっても、どんなに身体が柔らかくても、「バネ」がないとスポーツパフォーマンスが激減するのは、簡単に想像できると思います。
でも、バネっ鍛えられるの?・・・
なんて思わる方も多いと思いますが、安心してください!
鍛えられます!
「予備動作」
まず「バネ」を語る上で不可欠なのは「予備動作」と言われるものです。
例えばジャンプをするときに軽く体を沈み込ませる動作をすると思います。
これが予備動作です。
この予備動作があるとないではジャンプをするにしても、結果は明らかに違いがあります。
研究の結果によるとその差は概ね18〜30%も違いがあるそうです。
高さで言えば2〜4cmくらいになります。
さらに反動の動作のスピードを高めるために助走をつけたりするとその差はさらに大きくなります。
まず、バネを生むためには、この予備動作・・・
すなわち事前の沈み込みのスピードが速くなると、より高くジャンプできる傾向にあると言えます。
このバネと言われるものは専門用語で「SSC」と言われています。
これは「ストレッチ・ショートニング・サイクル」の略です。
これは僕らトレーナーが知っていればいい言葉なので、ここては皆さんにわかりやすく「バネ」という表現で行こうと思います。
この「バネ」の利用は何もジャンプシーンだけに必要なものではありません。
走行シーンでのバネの利用
実は、重い四肢を持つ動物の走行におけるエネルギーコストと、軽い四肢を持つ動物の走行のエネギーコストがほぼ同じという研究データがあります。
どういうことかというと、重い四肢は、それだけで筋肉にかかる負荷と負荷の速度を増大させます。
つまり「バネ」を使う上で必要な予備動作をするときのスピードが自然と高まるのです。
簡単に言えばある程度身体が重いと、ジャンプをするときの予備動作の沈み込みが、重いがゆえに速度をつけやすく、素早く身体を沈み込ませることができるのです。
ただし脂肪で重く、筋肉が少ないとその速度を活かしきることはちょっ難しいですが(^^;
また、幾つかの研究したデータによると「バネ」を効率的に利用した走りというのは、力学的なエネルギー全体の60%を回復させられるそうです。(Verkhoshansky、Voigtより)
この表現だとちょっと難しいですよね(^^;
例えばですが、カンガルーを想像してみてください。
ぴょんぴょん跳ねていますよね(^^)
あのジャンプ一回一回筋肉に力を入れてジャンブしていると思いますか?
そんなことしていたら、カンガルーはすぐに疲れちゃってジャンプ(カンガルーにとってはそれで「走行」と言える)、できなくなっちゃうんです。
あれは足の腱の「バネ」を利用してジャンプしているのです。
つまり「ほとんど筋肉のエネルギーを使わず」にジャンプできているのです。
エネルギー全体の60%を「バネ」のパワーでまかなえる・・・
みたいに想像していただくとわかりやすいのではないでしょうか?
そしてこの傾向はさらに走行速度が上がるにつれて増加するそうです。
マラソンランナーは「筋肉に一回一回力を入れながら走る」のではなく、そのほとんどを「バネ」をうまく使っているからあんなに速く、あんなに長距離を走れるのです。
なのでどんなに筋トレをして筋肉の力をつけても「バネ」がなければ「使えない筋」になってしまう可能性が高いのです(^^;
「身体のバネ」と「筋トレ」と「スポーツ」の関係について
エネルギーの蓄積される場所
まず「身体のバネ」を運動生理学的に学ぶ上で、幾つかの項目があるのですが、キーポイントは「弾性エネルギーの蓄積」というものです。
これはどういうものかというと、スキップをしたり、ジャンプをしたり、はたまたランニングをする際に、脚部はまさに「バネ」に似た特性を示します。
脚部が地面に接した際にバネが圧縮されて弾性エネルギーを蓄積し、反動で離地する時にエネルギーが放出されるのです。
まあ、バネそのものを想像していただき、バネが着地した時に沈みこむエネルギーのことを言っているんだなあ・・・くらいに思ってください(^^)
この時にエネルギーが蓄積される場所は「筋肉」だと思っている方も多いと思います
しかし実は正確には筋肉の両端に付いている「腱」部分が、この弾性エネルギーの蓄積場所であることが認知されています。
ちなみに「腱」に蓄積されたエネルギーは「ひずみ」または、「位置エネルギー」とも呼ばれます。
ここで興味深いことがいろいろと出てきます。
まず、このエネルギーが溜まる場所・・・つまり「腱」ですが、ある程度以上「伸ばされないと」エネルギーが貯まらないという特性があります。
まあ、バネを想像していただればこれもわかりやすいと思いますが、実際のバネもある程度以上伸ばしたり縮めたりしていないとパワーが発揮されないですよね。
バネを使うと筋肉は・・・
次に面白いのが「腱がある程度以上伸ばされ、そのパワーを発揮すると・・・・
つまり「バネ」を使うと「筋肉」自体はパワーの発揮を「抑制する」傾向があるのです。
これがウェイトトレーニングをする時に「反動を使ってはいけない」という理論につながっていくんです。
どういうことかというと、まず筋トレをして筋肉を大きくしたい場合は、
- いかに筋肉自体に負荷をかけ、
- いかに筋肉にパワーを発揮させるのか?
・・・・が勝負になるのですが・・・・
反動を使って・・・つまり「バネ」を使ってトレーニングするとパワー自体は発揮できていても「筋肉自体は収縮しようとするパワーをセーブしてしまう」傾向にあります。
その為、その発揮されているパワーは実は腱による「バネの力」であり「筋肉自体の発揮している力」は弱くなります。
結果筋肉には負荷がかからない(この場合その重量負荷は「腱」にかかっていると言える)ので、筋肉は大きくなったりはしなくなるという寸法になります。
したがって筋肉を大きくしたい、筋肉自体のパワーを向上させたい場合は、「反動&バネ」を使わずにトレーニングをする必要があるんです。
腱を伸ばすスピード
そして弾性エネルギーを「腱」に蓄積させるのに「筋肉を伸ばす距離」とともにもう一つ大事ポイントがあります。
それは「腱」を「伸ばすスピード」です。
ここが実際のバネと違うところで、実際のバネはゆっくり伸ばそうが縮めようがバネ自体は元の形に戻ろうとするパワーを発揮します。
しかし人間の身体の「腱」の生み出すバネは「素早く伸ばさない」と、バネとしてのパワーは発揮しないのです。
上半身のベンチブレスの反動動作を研究した結果では、この反動に要するスピードは0.85秒であり、1秒を経過するとその効果(バネの効果)は55%ダウンしてしまうそうです。(Wilsonより)
バネを使わず「筋肉の力だけ」でトレーニングしたい場合は、これもよく筋トレで言われる「ゆっくりと下ろして」トレーニングすることが必要ということとつながっていくんですね(^^)
そしてこれらは、もちろん逆のことも言えます。
どういうことかというと、つまり腱を素早く、ある程度距離を伸ばして「バネ」をうまく使っていくと「筋肉の力をセーブしながら、パワーを発揮することができる」ということになります。
そして、大半のスポーツは「筋肉を肥大」させるために行っているのではなく、高いパフォーマンスを発揮させ、勝負に勝つことが目的です。
「バネを最大限に利用していく」と「筋肉の収縮を抑える」ことにより「筋肉が疲労してしまうのを防ぎつつパワーを発揮し続ける」ことが可能と言えます。
これは長距離選手や、素早い動作を繰り返し行わなければならないスポーツをしている選手にとっては不可欠な要素です。
最後にもう一つですが「最大パワー発揮時」に関しては、この「バネの力」と「筋肉の収縮」は両方ともマックスになることもあるのです。
つまり100mダッシュや走り幅跳びのように「素早く」「最大パワー」を発揮しなければならない場合「バネ」も使いつつ「筋肉も最大の収縮」をしているのです。
なぜかというと、こういう場合は「筋肉のエネルギーを節約する必要がない」状況だからです。
なので身体は、「バネパワー」も使うし「筋肉の収縮パワー」も使ってマックスのパフォーマンスを発揮しようとします。
人の身体は上手くできてますね(^^;
色々書きましたがよろしければぜひご参考にして下さい!
ではでは!
