背中の筋トレ

【必見】ラットプルダウン手幅の違いによる効果の違い

ラットプルダウン

皆さんこんにちは

パーソナルトレーナーの野上です

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今回はラットプルダウン の「手幅の違いで背中への効果はどう変わるのか?」というテーマでお届けしようと思います。

ラットプルダウン ・・・とてもメジャーな筋トレ種目であると思います(^^)

このラットプルダウンには「手の幅」や「向き」さらに顔の前に下ろす「フロントプルダウン」か、頭の後ろにバーを下ろす「ビハインドネックプルダウン」といろいろなバリエーションがあります。

実際もっといろいろなバリエーションでこのトレーニングをしたことがあるという方も結構いらっしゃるのではないでしょうか?

・・・・しかし・・・・

手の幅や手の向き、下ろす場所によって筋肉への効果の変化を熟知している・・・

という方は少ないと思います(^^;

今日はこの辺について詳しくご説明していこうと思います。

最初に参考文献として、日本トレーニング指導者協会の機関誌、JATIエクスプレス62号、帝京大学医療技術学部、佐野村先生の研究から引用させていただきます

日本トレーニング指導者協会(JATI)

ラットプルダウンのバリエーションと効果

まず比較したのは

  • 手幅の狭い、フロントラットプルダウン(ナローグリップ)
  • 手幅が肩幅の1.5倍くらいの、フロントラットプルダウン(ミディアムグリップ0
  • 手幅が肩幅の2倍くらいの、フロントラットラットプルダウン(ワイドグリップ)

の3種類です。

重量設定は6回ギリギリできる重さで各筋肉に筋電図をつけて実施・・

蛇足ですが、筋肥大を目的とした場合の筋トレは6回から12回ギリギリ上がる重さでトレーニングするのが望ましいです(^^)

従ってこの6RMでのテストというのは筋肉の肥大のためにトレーニングをしている方にとってとても参考になる研究だと思います。

ちなみにラットプルダウンは、「背中」の筋肉を鍛える代表的な種目です。

しかし背中の筋肉といっても実は細かくいろいろとあり、またこのトレーニングは背中だけでなく肩の後部、上腕二頭筋の筋トレにもなっています。

バリエーションごとの効果(結果)

で、どんな結果が出たかというと・・・

まず僕が一番驚いたのはミディアムグリップでのトレーニングが上腕二頭筋への刺激がナローグリップより優位に高かったという点です。

一般的には「グリップ幅が狭い」ほど腕の筋肉への刺激は強くなる傾向になり、手幅が広くなっていくほ、肩やその周辺の筋肉への刺激が強くなっていくと考えられています。

なので個人的にはかなりこれは意外な結果が出たなと感じています。

また、これはまあわかる話なのですがワイドグリップでのラットプルダウンはナローグリップに比較して広背筋、棘下筋への刺激は優位に強かったそうです。

そしてこれまた割と意外だったのは全体的にはミディアムグリップでのトレーニングが最も各筋肉の活動が高かったという結果が出たそうです。

個人的には広背筋やその周辺に関してはワイドグリップの方が高いような気がしていたのですが・・・

なので、背中の筋トレとしてラットプルダウンを考えた場合、グリップの幅はミディアム幅のグリップが最もお勧めとなります。

「手幅や手の向きでラットブルダウンの背中への効果はどう変わるのか?」

次に「手幅や手の向きでラットブルダウンの背中への効果はどう変わるのか?」です(^^)

まずどんなラットプルダウンを比較したのか?からですが

  • 手幅の広い、フロントラットプルダウン
  • 手幅の広い、ビハインドネックラットプルダウン
  • 逆手で持った、手幅の狭い、リバースグリップラットプルダウン(スピネイテッドグリッブラットブルダウンともいう)
  • Vバーを用いた、パラレルグリップラットプルダウン

(ナロータイプ)

の4種類です。

個人的に惜しかったのは、パラレルグリップの広いタイプのラットプルダウンもあるのですがこれが研究種目から抜けてしまっているのがちよっと残念でした(^^;

まあそれは置いておいて、これらの種目をトレーニングに精通している10人に筋電図をつけてその筋肉の活動がそれぞれどう違うのか?を測ったそうです。

まずフロントラットプルダウンです。

この種目は「広背筋」に対する刺激が他の種目に比べて優位に大きいという結果が出たそうです。

そして他の3種目に関してはそれほど種目間の変化は少なかったそうです。

図の略称

  • WGFはハワイドグリップフロントプルダウン
  • SGはスピネイテッドグリップラットブルダウン
  • (リバースグリップラットプルダウン )
  • WGRはワイドグリップビハインドネッマラットブルダウン
  • PGは、パラレルグリップラットプルダウン

つまり、正面から見た逆三角形の上半身の形の要である「背中の広がり」を求めるのなら、この4種目の中では手幅の広いフロントラットプルダウンが最も効果的であるということが言えます。

また筋トレには、

  • 筋肉の収縮時に負荷がかかるコンセントリック
  • 筋肉が伸びながら負荷がかかるエキセントリック

という状態があります。

ちなみに最初のグラフは、筋肉の収縮時・・つまりコンセントリック時の比較です。

ラットプルダウンの場合「バーを下ろす」時に当たります。

これに対して、エキセントリック・・・

つまり筋肉を収縮させた後、バーを戻す時の負荷のかかり方を示したグラフでも広背筋には手幅の広いグリップで顔の前に下ろす動作が最も刺激が強いようです。

では他の種目が優位に立つ筋肉への効果は何か?というと・・

実はラットプルダウンってみなさん背中の種目と思われている方多いと思いますが、実は「胸の筋肉」も使っています(^^)

そして「パラレルグリップ」でのラットプルダウンは、大胸筋への刺激が他の種目に比べて優位に大きかったそうです。

三角筋(肩の筋肉)の後部に関してもパラレルグリップでのラットプルダウンが他の種目に比べて最も筋肉の働きが大きかったそうです。

ここは個人的にちょっと意外でした。

てっきりビハインドネックラットプルダウンが一番肩の後部に刺激が強いと思っていたので(^^;

またラットプルダウンはなんと上腕三頭筋にも実は力が入います。

(ここ意外な人多いのでは?)

ここには先ほどの「フロントラットプルダウン」 が最も刺激が強かったそうです。

最後にこれも「背中の広がり」に一役買っている「大円筋」です。

ここに関してはあまり優位な差は見られなかったそうですが、それでも僅差でフロントラットプルダウンが最も刺激が強かったそうです。

結果的に広背筋に関してはワイドグリップのフロントラットプルダウンが最も刺激が強いということになります。

逆にその反対にある「胸」に関しては「パラレルグリッブ」のラットプルダウン と「逆手」でもつリバースグリップラットブルダウンが刺激が強かったそうです。

これは「肘」の位置がリバースやパラレルは比較的身体の「前」に位置して動作することが関係していると考えられています。

NSCAのラットプルダウン最新事情

ちなみにラットプルダウンの「ラット」ってどう言う意味があるかご存知の方いらっしゃいますでしょうか?

腕だったらアーム何々、足だったらレッグ何々と名前のつくことの多い筋トレの種目ですが、ラット・・・・・ネズミ?

なんて思ったことのある方もいるかもしれません(^^;

これですね、広背筋のことを英語で、「Latissimus dorsi」と言うのですが、このLatissimus dorsiの頭のLatの部分・・・つまりラットから引用されています。

割と知らない方多いのではないでしょうか?(^^;

そしてこのラットプルダウンのメインのターゲットとなる筋肉はその名の由来の通り「広背筋」なのですが、実際この種目は色々な筋肉を動員して行われる種目です。

そしてさらに効かせ方が難しい種目の代表格でもあります。

またバリエーションも豊富で、グリップを広くしたり、狭くしたり、逆手でもったりすることで、どこの筋肉にどのように刺激が変わるのか?

と言うことは日々世界中で研究されていたりします。

先ほどは日本トレーニング指導者協会の研究報告でしたが、次はアメリカのNSCAの研究の最新事例をご紹介したいと思います。

ここでの記事はNSCAの機関紙であるストレングス&コンディショニングジャーナル2019年6月号よりご紹介させていただきます。

NSCAジャパンについて - NSCA JAPAN

まずどの研究も、

  • 広いグリップで顔の前に引くワイドグリップフロントラットプルダウン
  • 頭の後ろに引く「ビハインドネックラットプルダウン」
  • 狭いグリップの「ナローグリップラットプルダウン」

(顔の前に引く)

  • そして、逆手でグリップを持つリバースグリップラットプルダウン

(顔の前に引く)

の4種類を主に比較しています。

  • Signorieの研究では、ワイドグリップラットプルダウンが広背筋と、あとちょっと意外ですが上腕三頭筋長頭に他のグリップに比べて優位に活動が大きかった以外は他のどのバリエーションにも違いは見られなかったと報告しています。
  • Lehmanの研究でも広背筋にはワイドグリップがもっとも効いたものの、あとはどのグリップやどの手幅でもそれぞれの筋肉に対する効きに変化はなかったそうです。
  • Sperancleの研究は逆に広背筋に関する刺激はどのグリップでもどの幅でやっても変化はなかったと報告しています。

しかし大胸筋へはワイドグリップのラットプロダウンが最も効き、上腕二頭筋ではビインドネックラットプルダウンが最も効いたそうです。

  • Luskの研究では広背筋はリバースでやった時だけ刺激が弱く、順手で行う場合はどのグリップでも変化はなかったそうです。
  • Andersenの研究ではバーを引き寄せる段階ではナロウグリップが上腕二頭筋だけ優位に効き、あとは変化なしだったそうです。

しかしバーを戻す場合は、ワイドグリップのみ広背筋に優位に効果が上がったそうです。

以上の研究を踏まえた上で、結論から言うと・・・

バラバラですね(^^;

まあ研究なんてこんなもんです。

これは研究あるあるですが、いくつかの研究の報告を並べると大抵結果は大なり小なりバラバラになるものです。

なので実は今日一番言いたいことは「一つの研究結果だけで結論を出してはダメ」で、あくまでそれは参考程度にとどめておく気持ちが大切なのです。

この場合も5つの研究を俯瞰の目線で見ればなんだかんだとワイドグリップのフロントラットプルダウンが広背筋を始め、いくつかの筋肉に優位な結果を出しています。

多少結果が出ていない研究はあるものの、この場合ラットプルダウンを行うのであればワイドグリップのフロントラットプルダウンが最もおすすめであると言えます。

研究というのは日々進化していて、また月日が経って違う結果の研究が表せるかもしれません。

しかし今はとりあえずこれらの結果を参考にしながらトレーニングするのがオススメとなります。

色々書きましたが、よろしければご参考にしてください(^^)

ではでは!

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